幾度の延期を経て、A$AP Rockyがついに新アルバム『Don‘t Be Dumb』をリリースした。前作から実に8年ぶりとなる本作は、半ばリリース自体を諦めていたリスナーも多かっただけに、想定より早く手元に届いたことへの歓喜の声が広がっている。
Tim Burtonが携わったカバーアート、豪華な客演陣、そして“ついに公開された“という事実だけでも話題性は十分なのだが、それだけで終わらないのがRockyという男だ。
今回、彼はアルバム内でDrakeに対し、触れれば切れてしまいそうな程鋭いディスを放ったのである。
「だからお前の女を奪った」Drake涙目のディス連発
問題の楽曲は4曲目「STOLE YA FLOW」だ。同楽曲において、RockyはDrakeについて以下のように言及した。
「まずお前が俺のフローを盗んだんだ、だからお前の女を奪った」
この一節は、DrakeがRockyのスタイルを模倣してきたという長年の疑惑、そしてDrakeの元カノであり、現在Rockyの妻であるRihannaの存在を強く示唆している。
極めて鋭利。自分が言われたら恥ずかしくて爆発すると思う。
続けて、Drakeに浮上していた整形疑惑のある腹筋に絡めたラインを披露。この疑惑については、すでに昨年のKendrick Lamarによる「Euphoria」、そしてMetro Boominの「BBL Drizzy」という楽曲にてイジり倒されている。
「BBL*を入れてる奴もいるらしいが、俺たちがボディシェイミングすることはない、ラッキーだったな/Rockyの名前に泥を塗ったくせに、やってることと言えば真似事ばかりだな」
*自身の脂肪を吸引する整形方法
ディスはまだまだ終わらない。7曲目の「NO TRESPASSING」では、テキサスに拠点を移したDrakeに更なる恐怖を与える。
「アイツは嫉妬してるみたいだな、見ればわかる、必死こいてるみたいだが嘘をつく必要はないぞ/テキサスに移る選択肢もある、万全の守りで動き回ってやる、お前のエリアに踏み込んで火を浴びせてやるんだ」
多分、Drakeのライフは0になっただろう。
彼の反応がこれからの注目ポイントになってくるだろうが、昨今の彼の立ち位置はおおよそ「Kendrickに負けた、ヒップホップを商業的に利用しているヤツ」だ。SNS上でも彼がおもちゃ扱いされ、ネタ同然の存在となっている場面を目にした人は少なくないだろう。
この圧倒的不利な立場をひっくり返すためには、生半可な反撃では足りない。流れそのものを変えるほどの、決定的な一撃が求められている状況だ。
これはディス疑惑ではない
最近、Rockyはポッドキャスト番組『Popcast』にて、このディスの対象についてほぼ答えを出している。
番組ホストから「誰に向けたディスなのか」尋ねられた際、Rockyは「みんなわかってると思う」と発言。世間の見方が間違っていないことを認めた形となった。
彼とDrakeの関係性が拗れた理由について、Rockyは以下のように語っている。
「初めは友達だったヤツが敵になるのを見てきた。彼らは不利益な存在になるし、攻撃するようになってくる。それがいろんな場合において誤解に繋がってしまうんだと思う。」
その後、再度ディス対象を問われた際には「俺のことかもと思うヤツに対してだよ」と答えているのだが、文脈を踏まえればDrake確定だと考えて良いだろう。
まさかのKohh(千葉雄喜)イズムをここで感じることができるとは…。偉大なラッパーが考えることは万国共通なのかもしれない。
『Don’t Be Dumb』はどんなアルバム?
ここ数年、Rockyの人生は大きく動いてきた。
Rihannaとの間に3人の子どもを授かり、長期にわたる裁判を乗り越え、俳優として映画にも出演。常人なら何度も人生をやり直さなければ経験できない出来事が、短期間に凝縮されている。
そうした時間を経て完成したのが、この『Don’t Be Dumb』だ。当初は『All Smiles』というタイトルで、より早いリリースが予定されていたが、度重なるリークによって延期を余儀なくされたという。
数々の障害を越えて世に出た本作にはTyler, The Creator、Danny Elfman、Doechii、Thundercat、Gorillazといった豪華な面々が参加している。
待たされた分だけその重みも大きい。今のA$AP Rockyを知る上で、避けては通れない一枚であることは間違いない。
