月曜日, 12月 29, 2025

普段ライターって何聴くの?オススメHipHopアルバム5選【Lucie編】

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Via XXXTENTACIONlilbesh ramkomidwxstSieroBadtripsage on Apple Music

さて今回は、ライターとして活動している僕、Lucieが普段どのような作品を聴いているのか、アルバム単位で紹介させて頂こうというーーいわば「自分語り回」です!

僕が本格的にヒップホップを聴き始めたのは、SoundCloudラップが全盛期であった2017年前後。「昔のTrapは良かったよねぇ」なんていう老害ムーブを発揮しつつも、新しい作品に触れたら触れたでしっかりと喰らってしまうタチです。なので、5作品に絞るのは至難の業でした。

「最高のアルバム5枚!」なんてテーマにすると一生決まらなかったと思うので、今回は年代関係なく、2025年現在でも聴く頻度が多い作品を積極的に紹介できればと。

さっそく1作品目を紹介していきますっ。

『?』by XXXTENTACION 

Via XXXTENTACION on Apple Music

https://spotify.link/lsYz4gbzOXb

Xの作品は絶対に1枚紹介しようと思っていたんですが、これほど難しい選択はありませんでしたね。『17』や『BADVIBESFOREVER』、『Revenge』に『SKINS』…。「全くどうすりゃいいってんだ…。」と悩み悩んだ挙句、

結局こここなんだ…ここに戻ってきてしまう…。

このアルバムは、高校時代ヒップホップ好きの同級生に教えてもらった初めてのX作品で、当時の思い出補正も相まって、今でも聴くたびに泣きそうになります。

攻撃性を爆発させる一方で、自身の弱さをさらけ出し、時に遊び心を見せる。Xという人間そのものを映し出した、まさに“魂の記録“のようなアルバムです。

病んでいる時、僕は無意識にこのアルバムを流します。そして同時にXのスピーチ動画を見る。そのルーティンを通して自分のメンタルを落としに落とします。どん底まで落ちてしまえば後は上がるだけ、そういうことです。

このアルバムが後世に与えた影響は計り知れません。

破壊的なディストーションやLo-Fi、クラウド感のあるビート、ラテン要素の導入など、オルタナティブにジャンルを横断するスタイルはもちろんのこと。さらに世界観や曲順にこだわることで「アルバム自体に文脈を持たせる」という発想を現代に浸透させた点も大きいと思います。

一例を挙げると(あくまで個人的な考察ですが)、LEXの『LEX DAY GAMES 4』にも『?』の影響を感じます。『LEX DAY GAMES 4』は優しいギターサウンドにLEXのスムースなボーカルが溶け合う「CHOOSE」で締め括られますが、この構成は「before I close my eyes」によって幕を閉じる『?』との強いシナジーを感じることができるでしょう。

後世に残した影響、言葉にし難い魅力を考えると、後にも先にもこのアルバムを超える作品は、そう簡単に現れないのではないでしょうか。

『終末コレクション』by lilbesh ramko

Via lilbesh ramko on Apple Music

https://spotify.link/GEfiplIQPXb

「もう知らなーい!」と、叫ばずにはいられないこの作品。ジャンル?それはもう「ramko」です。これは「ramko」というジャンルです。

ramkoに関しては、僕は泣いてしまうほど好きです。SoundCloudの楽曲も聴き漁りました。何が好きなのかと言えば、「激しさの中に溢れ出す優しさと美しさ」でしょうか。少年のような無邪気さで、普遍的で美しい情景を描き出してくれる、そんなところですね…。これは言語化できているのだろうか(汗)。

そんな彼の真骨頂が最大限に発揮されているのが、このアルバム!一言で表すならば「破壊と抱擁」。破壊的に歪んだサウンドと可愛くて優しいリリックが織りなす化学反応は、言葉では説明し難い。全身で“感じるしかない”類の快感を与えてくれるはずです。

ラストナンバー「the world ends(with)you.」は圧巻。バイブス高めで突っ走ってたのに、最後の最後で「ぎゅっ」と抱きしめてくれるんだなぁこれが…。よく楽曲の宣伝において「大切な人を想いながら聴いてみてください」みたいな決まり文句を言ったりしますが、この曲を前にして同じことが言えるのか!?いえ、言えません。

言葉にできないような嫌な感情に苛まれた時、聴いてみてください。そして叫ぶのです、「もう知らなーい!」と。

はい、次っ!

『SUMMER03』by midwxst

Via midwxst on Apple Music

https://spotify.link/PZWtrud9PXb

midwxstって未だに活躍し続けているし、時代の流れに合わせながらも“彼らしさ“を残すのが上手いなって思います。最新作の『ARC HANGEL』でも長所を存分に活かしていますので、是非是非聴いて頂きたいのですが、今回は『SUMMER03』を紹介します。

この作品を知ったのは大学1年生の頃。YouTubeチャンネル「Overcast」にて投稿されていた楽曲「Trying」のMVがきっかけでした。

横のつながりを辿っていくことで、Glaiveやericdoa、brakence、aldnなど多くのHyperpopシーンの才能を知ることができたのを覚えています。アルゴリズムに感謝。

『SUMMER03』は、僕にとって初めて“Hyperpop“というジャンルの構成要素を理解することができた作品ですね。ビートに余白があること、緩急の鮮やかさが楽曲を引き立てることを教えてくれました。まだまだ古く感じない新しさがあるし、曲数も7曲を全力で駆け抜けていくので繰り返し聴ける手軽さもある。

特に5曲目「Smile(feat. Glaive)」は本当にオススメしたい。

midwxstのキャッチーなフックと、Glaiveのハスキーな歌声で繰り出されるバース、まじで“ピザとコーラ“なんですこれが。しかも、2人ともリリックが厭世的なんですよね。「人と関わりたくないし、部屋に1人で篭っていたい」と歌っている。国は違えど、ベッドルームアーティストが抱えている感情は大差ないんだろうなと、親近感が湧きますよね。

音圧高めなビートに合わせられる「人生ってクソ」テイストのリリックは、鬱屈とした感情をぶっ飛ばすには打ってつけです。

『THE GOAT TAPE 3』by Siero

Via Siero on Apple Music

https://spotify.link/2FsBL4YoRXb

ラップスタアとかもうどうでもいい、衝撃与えてくれえたアーティスト。もう既にGOATだよ貴方は…。

Sieroは声からして勝ち。そして「全員ぶっ飛ばす」というギラつき。でも、恐ろしさは感じないんです。「美学があって、きっと大切な人たちのことを心から愛せる人なんだろうな」なんて勝手に想像しています。

日本でこんなに人間臭くて応援したくなるアーティストって、僕からするとあまりいません。彼に関してはもうアーティストとしてだけではなく、人としても好きですね。

問題の『THE GOAT TAPE 3』ですが、まずオープニングトラック「SIERO THE GOAT 3」。

はい勝ち確。もう入りから完璧だろこれ。このアルバムで1番好きな楽曲です。Gloタイプのビートに攻撃性マシマシで豪快に突っ込んでいく彼、もう誰も止めれねぇよ。

「今までどれだけ馬鹿にされてきた?今までどれだけ踏まれてきた?」

なんて言われたらね…この曲聴いている間は無敵です。何でもできる気がしてきます。

そして、5曲目「2am in Tokyo」では一転して落ち着いたNewjazzトラックの上で本音を吐露。

「まあ幸せな方ってわかってるけど辛いものは辛い」

このリリックは彼の本質を表していますよね。絶対的な比較で見ると恵まれているけど、相対的に見ると全然満たされていない。そんな視点で語られる本音には、彼の優しさと知性が滲み出ています。

全8曲でハズレ曲なし。18歳の少年ならではの野望と葛藤が詰まった1枚。ヘビロテ必至です。

『SUPPRESSOR』by Badtripsage

Via Badtripsage on Apple Music

https://spotify.link/4DpPvS1oRXb

最後に紹介するのは、アルバムではEPですけど許して欲しい…。このBadtripsageという方、まだフルアルバムはリリースしていませんが、カッコよさが限界突破している。

彼を知ったのは高校2年生の頃。SoundCloudをディグりまくっていた時に偶然発見した天才です。

何と言っても、彼はセンスと先見の明がすごい。というよりかは、彼が直感的に好きなサウンドが結局流行りになっていく、といった方が正しいのかもしれません。

彼の魅力を一言で言えば「荒々しさと清らかさの両立」。

荒々しい808に浮遊感のあるメロディに、低くて芯のあるボーカルをスムースに乗っけてくれる。「こんな声に生まれたかったな」ランキングがあったとすれば堂々の1位です。

この『SUPPRESSOR』は、今でこそ主流になりつつあるSupertrapを2年前にすでに取り入れていた作品。しかも、全曲セルフプロデュースで圧倒的な完成度。

オープニング「SAFEHOUSE」は、アンビエントなトラックに自身のトラップライフを描いた名曲。初手からSage節炸裂です。

また、僕がこのプロジェクトで1番好きな楽曲「KODOKU」では、ハングリーさ全開で自信に満ちた彼のバイブスを爆発させています。

「あいつはzombie、考えなし、周りがやるならどうもやるらしい」

いやあマジで好き。自分に“芯“があると自覚している人は共感間違い無し。「有象無象は全員ぶっ飛ばしてやる」といった具合で闘争本能が呼び覚まされるので、勝負の日は必ず聴きます。

しかし、本当の彼は自信に満ち満ちているわけではなく、彼を構成しているのは“バッドであることがラストトラック「BOUNCE BACK」で明かされるんですよ。

「勘繰っても大体大丈夫/人生は上がる前に少し沈む/他人のリズムでたまに俺も沈む、そういう日もある」

孤高な存在に見える彼でも沈んだり、他人の気持ちに引っ張られてしまったり、でも前を向き続けるためにもがいている。彼の内省的な戦いについて、EPを通して語ってくれます。他者から一定の評価を得ていて、こんなにイケている人だとしても、悩みは尽きないのだと考えると親近感が湧いて「自分も大丈夫だ」なんて思えますよね。

Badtripsageの魅力についてはまだまだ語り尽くせていないので、後日彼だけについて語る記事を出す予定です。しばしお待ちを。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は、僕が現在も頻繁に聴くプロジェクト5枚を紹介させて頂くという、めっちゃ自分語り回でした。

改めて見返してみると、自身の好みの傾向が理解できて面白かったです。エモとディストーション、反骨精神のあるリリック。僕の構成要素はそんな感じでしょうかね。「もっとクラシックな作品とかも勉強しないとな」なんて知識欲も出てきましたし、楽しかったです。

紹介させて頂いた5枚、是非とも聴いてみてください!

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