横浜のラッパーSANTAWORLDVIEWが、eydenを迎えて作った「せっせ」は、労働と日常のループを90年代風トラップで切り取った楽曲だ。自身がプロデュースも手がけた本作で、彼は「鋭さと余裕が交錯する」と評されるラップを展開。2月6日の配信開始から、OTOTOYなどのプラットフォームで聴くことができる。
SANTAWORLDVIEW×eyden「せっせ」が描く労働のリアル
ビートの構造──90sトラップへの回帰
イントロから聴こえてくるのは、BPM140前後のミッドテンポトラック。808のキックが重心低く響き、ハイハットは16分音符で細かく刻む。シンセリードは単音でメロディを奏で、90年代後期のサウスヒップホップを思わせる。SANTAWORLDVIEWがプロデューサーとしても手がけた本作は、最近のトラップが持つ過剰な装飾を削ぎ落とし、むしろ古典的な構成に立ち返っている。
二人のラッパーが作る対照的な空間
SANTAWORLDVIEWのラップは、オートチューンを使わない生声で展開される。彼の「チェケラッチョ」スタイルは健在だが、今回はより抑制的だ。一方、eydenのパートでは声質の違いが明確に現れ、楽曲に奥行きを与えている。二人の掛け合いというより、それぞれが独立したセクションを担当する構成は、むしろ90年代のコラボレーション形式を踏襲している。
タイトルが示唆する現代の労働観
「せっせ」という擬態語をタイトルに選んだセンスは興味深い。せっせと働く、という日本語の持つニュアンスは、グラインドカルチャーとは異なる労働観を示している。歌詞の詳細は公式で確認すべきだが、タイトルから推測される日常の反復と、トラップビートの反復性が重なり合う構造は、現代日本のワーカーが抱える閉塞感を音楽的に表現していると考えられる。
HIPHOPCsから見た「せっせ」の位置づけ
HIPHOPCsとして率直に言えば、この楽曲は野心的な実験というより、堅実な職人仕事に近い。SANTAWORLDVIEWが『ラップスタア誕生』から積み上げてきたキャリアの中で、プロデュースとラップの両方を手がけた点は評価できる。ただし、中毒性があると評される割に、フックの印象は薄い。eydenとのケミストリーも、まだ探り合いの段階に見える。それでも、労働をテーマにした楽曲として、2026年の日本語ラップシーンに一石を投じる作品になるだろう。
Punchline
歌詞の直接引用はできないが、この楽曲の核心は「繰り返し」にある。せっせという擬態語が持つ機械的な反復性と、トラップビートのループ構造、そして現代の労働が持つ終わりなき循環。SANTAWORLDVIEWとeydenは、この三重の反復を音楽的に表現することで、2026年の日本で働くということの意味を問いかけている。
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「せっせ」に関するよくある質問
SANTAWORLDVIEWとeydenの「せっせ」はどこで聴けますか?
2026年2月6日よりOTOTOYなどの配信プラットフォームで聴くことができます。SpotifyやApple Musicでも配信されていると思われます。
「せっせ」のプロデューサーは誰ですか?
SANTAWORLDVIEW自身がプロデュースを手がけています。彼はラッパーとしてだけでなく、プロデューサーとしても活動しています。
SANTAWORLDVIEWの過去の代表作は?
ファーストアルバム『SINTERKLASS』、セカンドアルバム『I’M THE ONE』、2023年の『XEONWORLDVIEW』などがあります。2018年には『ラップスタア誕生』シーズン3でFINAL進出を果たしています。
「せっせ (feat. eyden)」をSpotifyで聴く
本記事の楽曲解釈は編集部の印象に基づくものであり、アーティストの公式見解を代表するものではありません。
