毎年恒例?rirugiliyangugiliとLil Ash懺悔のsantaシリーズ

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CNG Squadのメンバーが毎年出しているsantaシリーズ。2023年・2024年はLil Ash懺悔が担当し、2025年はrirugiliyangugiliが担当している。毎年アップされているので、シリーズ化しているのではないか。

rirugiliyangugiliとは

2000年6月12日大阪府寝屋川市生まれ。ロックバンド・マキシマム ザ ホルモンの楽曲に出会ったことで音楽に興味を持ち、作詞をするようになる。先輩にスタジオに連れてもらったことをきっかけに音楽をはじめ、2021年6月28日に『Negative I Love You』をリリース。その曲をきっかけにさまざまなライブに呼ばれるようになる。現在はクリエイティブコレクティブCNG Squadを主宰し、大阪アンダーグラウンドシーンで独自のポジションを築いている。

Lil Ash懺悔とは

1999年12月21日大阪府大阪市生まれ。先天性の発達障害があり、障害等級2級。中学時代は不安定な家庭環境で過ごし、その中でHIP HOPに出会う。ラップスタア誕生というオーディション番組に応募し、自立支援施設で撮影された動画が大きな話題となった。2021年5月に自身の障害者手帳をジャケットにした『ADHD』をリリース。リアルな当事者目線のリリックで、アンダーグラウンドシーンに強烈な印象を残した。

2025年はなぜrirugiliyangugiliが担当したのか

CNG Squadを主宰するrirugiliyangugili。2人の間で何があったのかは不明だが、Lil Ash懺悔はCNG Squadを勇退している。そのため2025年はrirugiliyangugiliが担当しているのだろう。バトンが渡ったことで、santaシリーズは新たな局面に入った。

両者のリリックを紐解く

まずはLil Ash懺悔のリリックから紐解いていく。

Lil Ash懺悔「zange santa」Part 1(2023年)。山下達郎『クリスマス・イブ』をサンプリングし、孤独と貧困をリリックに刻んだ。

「今年の一年 財布の中身 空っぽな日々が続いていたよひもじい」という歌詞からスタート。彼は就労継続支援B型で働いている。B型の1ヵ月の給料は約1万円から1万5,000円のため、常に財布が空っぽな状態を表しているのではないか。

サビになると山下達郎の楽曲『クリスマス・イブ』が登場する。『zange santa』の歌詞に「かわいいあの子に振られたり 俺のことを見てもくれない」「恋はいつでも片思い」「誰かといたいよ正直 ひとりの夜はめっちゃくちゃ辛い」とあり、山下達郎と同様に心の痛みや孤独感をリリックに綴っている。

Lil Ash懺悔「zange santa」Part 2(2024年)。Wham!『Last Christmas』をサンプリング。Part 1の悲壮感から一転、前向きな気持ちの変化が伝わってくる。

「寒い季節の前に俺はだんだん恋をしていた」「ユニバとかに行って 手とか繋いで」「施設で会えない時でも平気だ必死かLINEで君を口説く」。Part 1に比べて孤独感や悲壮感がまるでない。施設で生活しているLil Ash懺悔だが、限られた中でも懸命に奮闘している姿がわかる。PVでは階段をかけあがっていくシーンがあるのだが、気持ちも前向きに上がっていることを表しているのではないだろうか。

続いてrirugiliyangugiliのリリックを見ていく。

rirugiliyangugili「santa 2025」。back number『クリスマスソング』をサンプリング。刹那的なリアルさが光る2025年版santaシリーズ。

「好きなバンドとか似てるしラップが好きじゃない君がタイプ」「こんな俺でも愛してくれるならそんな君でも愛せる気がするよ」。サビでは「カイロ、貼るカイロ、どっかいこう、カイロ、貼るカイロ」と繰り返している。どこか刹那的で、投げやりさも感じられる。そして妙にリアルさがある。

リリックの共通点

rirugiliyangugiliのリリックには「乾いた風に吹かれて一人きり歩いている」とあり、Lil Ash懺悔のリリックには「誰かといたいよ正直 ひとりの夜はめっちゃくちゃ辛い」とある。両者ともに孤独や寂しさを表現しており、根底に流れるテーマが一致している。また、どちらもクリスマスソングらしく恋愛要素を盛り込んでいる。

そして、どちらも有名なクリスマスソングをサンプリングしている点が特徴的だ。rirugiliyangugiliはback numberの『クリスマスソング』、Lil Ash懺悔はPart 1で山下達郎の『クリスマス・イブ』、Part 2でWham!の『Last Christmas』をサンプリング。santaシリーズは国内外問わず広く知られたクリスマスソングをベースに、各々の個性をギュッと凝縮した楽曲になっていることがわかる。

今年は…?

2024年に勇退したLil Ash懺悔。今年もrirugiliyangugiliが担当するのか、Lil Ash懺悔が戻ってきてPart 3が公開されるのか。アンダーグラウンドシーンの”冬の風物詩”として定着しつつあるこのシリーズの行方を、ぜひ見届けたい。


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文:佐藤杜美

2000年生まれ。高校入学から大学卒業までの約7年間、華道を学び大学3年時に准教授資格を取得。伝統文化への深い理解をベースに、アパレル企業勤務を経てライターへ転身。現在はHIPHOPCsをはじめ多様なWEBメディアで執筆中。読者に新たな視点と発見を届けることを信条としている。

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