DJ 2high。西海岸で活躍する、唯一無二の日本人プロデューサー。且つTha Dogg Pound(ザ・ドッグパウンド)唯一の日本人メンバー。レジェンドDJ。
そんな彼が、90年代を一世風靡した伝説のトリオ、TLCのラップを担当していたLeft Eye(レフトアイ)ことLisa Lopez(リサ・ロペス)と仲良しだったという噂を聞きつけた筆者は、その真相を確かめるべく2high氏に再度直撃インタビューを試みた。
前回の記事の通り、メルローズ・アベニューのMarathon Burgerで腹ごしらえした後、その裏にあるポインセチア・レクレーションセンターに場所を移し、話を伺った。
SEI:2highさん、今日もお時間いただきありがとうございます。前回は2Highさんの生い立ちとか、音楽活動とかそういう話を聞かせていただいたんですけど、 今日はちょっと小耳に挟んだんですけど、かの伝説的ガールズトリオグループ、TLCとかともなんか過去に繋がっていらっしゃったとかで、是非お話をお聞かせ頂きたいなと思いまして。今回は質問状とかないんですけど、フリースタイルでお話して頂けたらなと思っています。TLCの誰と仲良かったんですか?
2high:Left Eye(レフトアイ)です。
SEI:彼女、2002年の4月25日に事故で亡くなっていますよね?
2high:出会ったのは1999年、『No Scrubs』が出た後くらいですね。
SEI:え、『No Scrubs』?!あの時のレフトアイ、めっちゃ可愛かったんですが(動画参照)。どこで知り合ったんですか? 日本?アメリカですか?
2high:日本です。どうやって知り合ったかっていったら、もともとはシャヒードっていう僕の友達のデザイナーの人がいて、 彼がTLCの『CrazySexyCool』の絵を描いたデザイナーさんです。
SEI: 私、そのイラストのTシャツ持ってるんですけど。あの3人の絵ですよね。めっちゃ好きなイラストです。シャヒードさんにさっき2highさん電話していましたよね?
2high: そう。それを描いたのが シャヒード・アリー。俺はシャーって呼んでるんだけど。
SEI:彼はどこにいらっしゃるんですか?
2high:今はニューヨークです。ちょっと前までLAにいたんだけど。シャーと出会ったのは日本。
98年に僕がKSRって会社を作った時に、その時に雇ってた外国人が仲良かったらしくて。確か彼は当時クラブ「ハーレム」で遊んでたの。その当時シャーは固定の宿がなかったので日本滞在時は僕の家に滞在させていたの。
SEI:あ、そういう経緯だったんですね。へー、なるほど。
2high:で、シャーがアメリカ帰る時に、成田まで送って。その時に、「絶対レフトアイ紹介するから」って言われて。そんなこと言ってたけど、 気にもしてなくて。実際に紹介する人って少ないし。だから僕、そこの部分は気にしていなくて。でも、シャーとのコミュニケーションがすごく好きだったから、またシャー会いたいなと思ってたんだよね。
だけど、ここからね、2ヶ月、3ヶ月ぐらい経って、俺とレゲエのCorn Head(コーンヘッド)と一緒に横浜の中央市場にある『さがみや』っていう、子供の頃から行きつけの寿司屋さんでご飯食ってたら、知らない090の番号から電話かかってきて。誰だこれと思って電話出たんですよ。そしたら、リサって言うんですよ。「Who?Who?(誰?誰?)」って聞いたら「LEFTEYE FOOL(レフトアイよ、バーカ)」って言われて「WTF?(なんだ?)」って?
SEI:えーホントですか? うわー、やばいやばいやばい。
2high:「何してんの?」って聞いたら「今日本にいるんだけど、ヒマ」って返事で。
SEI:えっ!?レフトアイ日本にいたんですか?
2high:そう、「今日本にいるんだけど I’m bored(退屈してるんだ)」って。だから自分は「Do you have anybody to drive for you? You wanna come to my house?(誰か運転してくれる人はいるの?うちに来る?)” って聞いたら、「Yeah!(うん!)」って。
SEI:本当に?そんなノリでレフトアイと会っちゃったんですか?
2high: だから、レフトアイに電話を運転手に渡すように言って、運転手にうちへの道順を教えて。そしたら1時間後、ブーン!彼女やって来たんだよね。「Oh my gosh! (オーマイゴッシュ!)」って。
SEI:そうなんですねぇ。やば! え、それは1999年とかですか?
2high:『No Scrubs」が出たタイミング?(90年代を代表する名曲『No Scrubs』リリースは1999年2月)
SEI:あ、じゃあ日本に来てたんすね。お忍び?お忍びで来ていたんですか!
2high:お忍びのプロモーションだね。あと他のメンバー二人も全員一緒に来ていて。
SEI:えーと、1時間後に2highさんのお家にいらっしゃって、何が起きたんですか?
2high:普通に喋って、お互いの音楽聞かせ合って。うん。まあ喋っていたかな、基本的には。それが初日かな。
SEI:その時、T-Boz(T-ボズ)とChilli(チリ)は?
2high:その時彼女らは、レフトアイとは別行動してたんだよね。でもクルーでなんかもう8人くらい友達連れてきて、団体ツアーみたいになちゃってて。そう、初めの日はもうATL(アトランタ)のガッチガチのサザンガールズの団体がやってきて。その時すっごい印象的だったのが、レフトアイの身長。すっごい小さくて。150センチも無かったんじゃないかな?
SEI:あっ、そんな小さかったんですかレフトアイ。へぇーめっちゃ可愛いかったですか?だって誰が見ても可愛いかったじゃないですか。
2high:その時8人女の子来たんだけど、レフトアイはもう群を抜いて可愛かったですね。僕がその時20歳で「いくつ?」って聞いたら「27歳って」答えて。ていうか、27歳の見た目じゃないよねって言ったら彼女が「いや、だって私フルーツと水だけの生活を2年してるから」って言ったのね。
SEI: え、フルーツと水だけ…だったんですか?すごいですね、フルーツダイエットみたいな。だからあんな細かったんですかね?スタイル抜群でしたよね。
2high:彼女はドクターセビっていう人のところに行って、フルーツダイエットを教えてもらってて。(注:ドクターセビは、ホンジュラス出身の薬草医だった)
SEI:そうなんですね。結構芸能人でもそれやってる人って当時いたんですか?
2high:ドクターセビの顧客で一番しょっちゅう行ってたのが、マイケル・ジャクソンとか。ヒーリングしに行っていたらしいよ。でもね、その先生アメリカの医療業界からプレッシャーをくらってたらしくてね。
SEI:医療業界?医療団体ですか?
2high:っていうのは、だから要するにお薬を売ってる人たちからしてみたら、そんな薬を使わないで自然にヒーリングなんてされたら商売が上がったりだから、そのドクターすっごくいじめられて、不法だとか不正だとかなんかいろんな罪を着せられて逮捕されて。それでホンジュラスに逃げたのよ。
で、レフトアイ。もう何しろ第一印象は、めっちゃかわいくて、「なんでそんなかわいいの?」って聞いたら「もう私はもうフルーツと水だけでこの2年生きてるの」って言われて。俺は何でも食べる人だけど、それから基本的にフルーツは食べるようにしてるんだよね。
SEI:なるほど。その後レフトアイと何があったんですか?
2high:あ、それが初日です。2日目がね 、「どっか遊び行きたい」っていうから「どこ行く?」って聞いたらクラブ行きたいって言われて。日本の。だから、地元の横浜の元町に当時『ロゴス』ていうクラブがあったんですけど、そこのマネージャーに電話して「今からとんでもないの連れて行くんで、VIPをちょっと貸切らせてください」って。そしたらマネージャーは「誰?」って聞いてきて。「言いません。 絶対びっくりするから」って伝えたら、そのマネージャーは「いや俺もう大抵の人は見てるから、誰来てもびっくりしないよ」って言われて。
SEI:おおおお マネージャー言いますね。
2high:「じゃあ賭けましょ。俺が本当に連れてきた人にびっくりしなかったら、そのままガッツリ通常料金支払います。だけどビックリしたら、タダね」って。で、レフトアイと手を繋いでクラブに乗り込んで(笑)。したらマネージャー、案の定口パコーンて開けてビックリしてて。
SEI:手繋いで?あの、リサ“レフトアイ”ロペスと? オーマイゴッド! うわ、やばやば!(爆笑)
2high:リサ、来る前に本当は7時からのJ-WAVEラジオ番組にゲスト出演するはずだったのね。TLCの他のメンバーと。だから俺、 J-WAVE 聞いてたの。そしたら6時55分とか、まあ57分とか ちょっとその7時手前の時に次の番組CMみたいな、「なんと今スタジオにTLCのみんなが来てくれてます~」ってDJが紹介した瞬間に、後ろで「Hikaru! I’m coming right now!(ヒカル、今行くわよ!)」ってレフトアイが大声で言ったの。ラジオで。(注:2high氏の本名はヒカルである)
SEI:え?まさかのシャウトアウト?
2high:俺、「What the fu〇k?(何なんだ?)」ってなって。そしたらそのまま電話かかってきたの「ボーン」つって。で、電話出たらレフトアイで、「I’m done!, I’m done!(終わった、終わった)」って言われてね。だから、自分はもうラジオ終わったから「行こう」って言うから俺は「いや、ラジオは今からでしょ?」って聞いたら 「ねぇ、I shout out you man!(あたし、シャウトアウトしたよね?)」って「だからI’m done!(終わりよ)」って。つまり自分はあんたの事言ったから、もうラジオ終わりなんだと。
SEI:え、じゃあT-ボズとチリだけ残って?
2high:あ、でもね。チリ来たよ。一緒に。
SEI:(笑)マジですか?
2high:ホント、ラジオはバックレたと思う。7時から枠があったけど、少なくともレフトアイとチリはすっぽかしたね。
SEI:さっすがレフトアイだ~。ぶっ飛んでますねぇ。あの…レフトアイとはそれだけの関係だったのですか?
2high:皆さんのご想像にお任せします(笑)。本当に結構濃2日で、それを境にその後もずっとレフトアイとは電話で話してたんです。もう意味のない電話をずっとしてましたね。「何してるー?」みたいな。
SEI:2highさん、狙われていたんですか?
2high:俺が狙ってた。あはははは!でも、そうだねえ、憧れたとはいえ『No Scrubs』の、あの超タイミングで「No, I don’t want your number(あんたの電話番号何て要らないわ、という同曲の有名なライン)」って言って。だから俺、「I feel really special at the moment(俺すっごい今特別に感じてる)」 って言ったんですね、彼女に。「だって、 I got your number(君の番号ゲットしたし)」って(笑)。
SEI:いやいや、羨ましいなぁ。そんなことがあったんですね。なんか青春ですね。この話、当時誰かにされました?初めてですか?
2high:してないですねー。
SEI:その後、彼女が2002年に亡くなるまでの間(レフトアイは2002年4月25日ホンジュラス滞在中交通事故で亡くなる)、ずっと電話でやりとりとかあったんですか?一緒にコラボとか。
2high:まあなんか曲をやるかやらないかみたいな話だったりとかはあったんだけど、その間に色々あったし、結局ビジネスの最終的なところが片付かなくて、実現しなかったんだよね。
SEI:じゃあ曲は一緒に作っていないんですね。
2high:でも俺はリサと曲を作るためにアメリカ来たのあったんだよね。もちろんだからスヌープがっていうのもあったんだけども、でも俺のマインドの中で実はここが一番強かったかなっていう。リサに会いに…リサを追っかけてというか 、TLCの楽曲作ってグラミー取るみたいな。それが俺のビジョンだったんだ 10代の時は。まあ、叶わなかった夢ですけど。
SEI:残念ながらリサも亡くなっちゃったし、それでなんかちょっと TLCの時代が終わっちゃったみたいな感じでしたからね。当時は。亡くなる前は話しましたか?
2high:で、それでそうだなー。亡くなる ちょっと前? 3ヶ月くらい前かな?ある日電話かかってきて。俺が引っ越した後どうやって彼女が自分の番号を知ったのか分からないけど、突然彼女から電話が来て。それが不思議だった。その時、俺自分の電話番号教えてないのに。アメリカの番号だよ?
SEI:誰かから聞いたんじゃないですか?さっきお話していたシャーさんとか?
2high:俺も分からないけどシャーしかないよね。その時にちょうど彼女がDeath Row Records(デスロウ・レコーズ)に入ったばっかりでさ。
SEI:あっ、彼女デスロウに入ってたんですか? TLCじゃなくてリサだけ?(レフトアイは亡くなる3か月前の2002年1月にTha Rowと一時改名したデスロウと契約した)
2high:ていうかね、リサは2Pac(2パック)のことが大好きだったの。ほら、リサと2パックの曲あるじゃん。それはだから、そのデスロウのタイミングで作ったんだ。
SEI:なるほどね。リサが日本語でシャウトアウトしてる2highさんの曲…。
2high:「私はレフトアイです 私はキチガイ(リサはTLCの代表アルバム『Crazy Sexy Cool』のクレイジーを担当していた)私はブリブリ」って。本当はあのカットしちゃってるけど「日本で会いましょう」っていうのと、あと「5000万くれ」ってそこもカット。
SEI:5000万?なんで5000万?
2high:リサね、なんか500万取れる話がうやむやになった経緯があって。その当時。だから怒ってたんですね。それで5000万くれって。まあ今だったら5000万でも安いぞって感覚ですよね。
SEI:確かに確かに!で、彼女亡くなったのが2002年4月のホンジュラス。あのドクターセビ出身で亡命?逃げていたホンジュラスで亡くなったってことなんですけど、その時はどこにいらっしゃったんですか?
2high:ハリウッドのスタジオです(とこの公園から見える丘を指さす)その時、友達から電話かかってきて。うん、なんか信じらんなかったなぁ。
実はその3か月前くらいに彼女から電話がかかってきて、女のバックDJ、オフィシャルのバックDJにならない?って言われて「したい!」って。したいけど、俺のホームボーイ皆デスロウから抜けちゃってた時期で。
SEI:Daz Dellinger(ダズ・ディリンジャ―)さん、その時社長でしたか?
2high:いや。Kurupt(クラプト)が社長で、ダズはもう抜けてたタイミング。あの時は、DPGでクラプトをかけちゃいけないっていうお触れがあったんですよね。そう、流すなって。そんな時に俺がまたデスロウに行くのってさー、ちょっと気まずいじゃん、それはやっぱり。
それで泣く泣くお断りして。それが最後に話した時。なんか最後ね、仕事しよって言われて「ノー」って言わなきゃいけなかったし…みたいな。
彼女の死後に出た、『LOUIRE(ルイール)』って日本のヒップホップ雑誌(既に廃刊)にレフトアイが表紙になった号があって、その最後のページに日本の印象はとルイールがリサに聞くと、なんと俺の事が書いてあってあれ発見した時は号泣した。
SEI:そうですか…それはお辛い。じゃあ、もしレフトアイと天国で会ったらなんて言いますか?5000万くれ?ブリッブリ持ってきたぜ、みたいな(笑)?(注:現在カリフォルニア州で大麻の使用は合法です)
では最後に、今後の2highさんの活動予定とか、プロモーション等もがあれば是非!
2high:色々とやりまくってるんですけど、Joe Cool(ジョー・クール…スヌープの『Doggystyle』アルバムで有名なヒップホップアーティストで2highさんの親友。2024年に亡くなる)が残してたアートがいっぱいあって、それを今使ってアニメ作ってみようかなーって。
SEI:ジョー・クールさんと仲良しでしたもんね。その彼の絵を使ってアニメを?
2high:一応YouTubeから始めます。違う ネットワークでも出せるようなプラットフォームも考えていますが。
SEI:それは2highさんだからできる、2highさんならではも企画ですね!
SEI:いやー楽しみですね、ジョー・クールさんのイラストのアニメ。YouTube、皆さん楽しみにしていてください。2highさん、本日もビックリで貴重なお話し、ありがとうございました!
と、いう事で今回もDJ 2high氏から出た、伝説のガールズグループのメンバーとのビックリ秘話。まさかあのレフトアイと仲良しだったとは!当時を知っているサイト読者は、少しだけあの頃を思い出してシッポリ…もしくはMVを観なおしてアゲアゲになったかもしれない。
R.I.P.リサ”レフトアイ”ロペス。Thank you 2highさん!
関連リンク:
シャヒード・アリー氏インスタグラム:https://www.instagram.com/shahwonders/
DJ 2high氏関連リンク:
https://www.instagram.com/dj2high
https://www.youtube.com/@DJ2HIGH_TV
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