土曜日, 1月 10, 2026

A$AP Rocky「Punk Rocky」MV公開──ヒップホップにおけるビジュアル表現の最前線

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A$AP Rockyが新曲「Punk Rocky」のミュージックビデオを公開しました。映像には俳優ウィノナ・ライダーが出演し、ガレージでのセッションから警察沙汰へと転がり落ちる展開が描かれています。新アルバム『DON’T BE DUMB』は2026年1月16日リリース予定です。

MVの概要:コメディと混沌の4分間

「Punk Rocky」のMVは、Rocky本人とFolkert Verdoorn、Simon Becksによる共同監督作品です。郊外の住宅街を舞台に、Rockyと仲間たちがガレージで騒々しいジャム・セッションを繰り広げます。そこへウィノナ・ライダー演じる隣人がクッキー片手に登場し、物語が動き出します。

映像はその後、騒音トラブルから逮捕、釈放、そして再びの問題行動へとエスカレート。終盤にはカートゥーン的な誇張表現も含まれており、タイトルの「Punk」が示す破天荒さを映像全体で体現しています。

やっぱりRockyはビジュアルが強い

A$AP Rockyって、やっぱりビジュアルへのこだわりが半端じゃないなと改めて感じます。デビュー当初からヒップホップ界で最もビジュアルにうるさい男みたいな立ち位置で、今回の「Punk Rocky」でもその姿勢は全くブレていません。

色彩設計、衣装、カメラワーク、そしてウィノナ・ライダーという80〜90年代カルチャーを象徴する俳優のキャスティング。すべてが計算されているのが伝わってきます。ガレージのアメリカ郊外のありふれた風景を舞台にしながら、そこに非日常的なカオスを持ち込む。この感覚は、やっぱりRockyならではだなと思います。

MVを単なる曲のプロモーションで終わらせず、独立した映像作品として成立させる姿勢は、彼のキャリアを通じてずっと一貫しています。

正直、Tyler, The Creatorの影響も感じる

今回の「Punk Rocky」を見ていて、個人的にはTyler, The Creatorからの影響をけっこう感じました。

Tylerは近年、『CALL ME IF YOU GET LOST』(2021年)や『CHROMAKOPIA』(2024年)で、アルバム全体を貫くビジュアル・コンセプトと物語性をとことん追求してきました。複数のキャラクター(ペルソナ)を使い分けて、音楽とビジュアルを完全に一体化させる。あのアプローチは今やTylerの代名詞になっていると思います。

「Punk Rocky」のMVに見られる別人格的な表現とか、コメディとシリアスを行き来する演出、リリース自体を事件として演出する手法。Tylerがここ数年でやってきたことと重なる部分が多いように見えました。

もちろん、Rocky自身も『LONG.LIVE.A$AP』(2013年)の頃からビジュアル面では先駆者でした。でも、8年ぶりのアルバムを出すにあたって、盟友Tylerの進化をずっと見てきた上でじゃあ俺ならこうするっていうアンサーを出してきた感じがします。あくまで個人的な見方ですが。。

2人は互いに影響を与え合いながら、ヒップホップにおけるビジュアル表現の水準を引き上げてきた存在です。今回の作品も、その延長線上にあるのかなと感じています。]

公開直後に「削除」表示?:話題を呼んだローンチ演出

海外メディアの報道によると、MV公開直後にYouTube上で一時的に「投稿者により削除された」という表示が出たそうです。実際には視聴可能な状態だったようで、タイトルの「Punk」=「からかう」という意味と連動したマーケティング演出だったと見られています。

SNS時代のリリース戦略として、こうした事件化は珍しくありません。ただし説明なしに行うと混乱を招くリスクもあり、今回は賛否両論の反応があったよう。

ドリームポップ的質感とラップの融合

サウンド面では、歪んだギターとドリーミーなプロダクションが特徴的です。Rockyのフロウは歌とラップの境界を行き来し、ジャンル横断的なアプローチを見せています。プレス情報ではDanny Elfman、Thundercat、A$AP Nastの参加も明かされており、アルバム全体の多様性を予感させます。

日本で言うと、Nina Utashiroが近いかもしれない

Rockyが今回見せたMVで世界観を構築する手法は、日本のヒップホップでも加速している傾向です。

ビジュアルへのこだわりという点で個人的に注目しているのが、Nina Utashiro(歌代ニーナ)です。

彼女は楽曲制作からMVのビジュアル・ディレクションまでをトータルで手がけていて、独自の世界観がちゃんとある。ファッション、色彩、映像の質感まで含めた作品設計は、まさに音楽とビジュアルを切り離さない姿勢そのものだと感じます。

こういうアーティストが日本にもいるというのは、シーンにとって良いことなんじゃないかなと。Rockyのmvを見ながら日本だと誰だろうって考えたとき、真っ先に浮かんだのが彼女でした。

MVは今やSpotifyのDiscoverプレイリストやYouTubeのアルゴリズムに乗るための重要なフックです。ストーリー性、シェアしたくなる仕掛け、明確なフックの配置が求められます。「Punk Rocky」はその点で、海外の最前線がどこを向いているかを示しているといえるでしょう。

アルバム『DON’T BE DUMB』詳細

  • 発売日:2026年1月16日
  • 収録曲数:17曲(Spotifyプレセーブ表示による)
  • レーベル:AWGE / RCA Records

前作『Testing』(2018年)から実に8年ぶりのスタジオアルバムとなります。長い沈黙を経てのリリースだけに、ヒップホップファンの期待は高まっています。

出典

  • People:MV内容、出演者、共同監督、アルバム発売日
  • Pitchfork:共同監督クレジット、発売日
  • Spotify:プレセーブページでの17曲表示

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