Reichi『BOP BOP』は、耳に残るタイトルそのままに、思わず体が動き出すようなバウンシーなビートが印象的な一曲である。トラックを再生した瞬間から、太いベースラインと小気味よいハイハットが絡み合い、ストリート感あふれるサウンドスケープが広がっていく。ニューヨークのブロンクスで生まれたヒップホップのDNAを継承しつつも、現代的なトラップ以降のプロダクションを感じさせる仕上がりだ。Reichiというラッパーの名前に馴染みがないリスナーでも、このビートの質感だけで一気に引き込まれるのではないだろうか。
ラップのフロウに関しては、タイトルの「BOP BOP」というフレーズをフックとして効果的に配置し、中毒性の高い構成になっているように聞こえる。言葉のリズムとビートの隙間を巧みに縫うような乗りこなしは、Reichiがトラックメイクとの相性を深く理解しているラッパーであることを示唆しているといえる。リリックの全容は繰り返し聴き込むことで見えてくる部分も多いが、自身のスタイルや存在感を誇示するようなテーマが軸になっているように捉えられる。HIPHOPCs編集部としては、この楽曲が持つ自信に満ちたエネルギーこそが最大の魅力であると感じさせる。
『BOP BOP』は、夜のドライブや週末のパーティー、あるいはワークアウト中のプレイリストにも最適な一曲だ。ストリートで鳴らしても、ヘッドフォンで没入しても、それぞれの聴き方でグルーヴを堪能できる汎用性がある。Reichiの今後のリリースにも注目が集まるかもしれない。ヒップホップシーンにおいて、こうしたキャッチーかつ芯のある楽曲を生み出せるアーティストは貴重である。