火曜日, 12月 30, 2025

KID FRESINO『USD』|レビュー&解説

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KID FRESINO『USD』|レビュー&解説

Text by HIPHOPCs編集部

『USD』は、タイトルが示す通り金銭やストリートの価値観を彷彿とさせる一曲。硬質なビートと緊張感あるフロウが印象的で、ヒップホップの核心に迫る新曲として注目したい。

『USD』のビートは、深く沈み込むようなベースラインと乾いたキックが特徴的だ。上ネタには不穏なシンセが薄くレイヤーされ、全体としてハードな質感を醸し出している。このサウンドは真夜中の都市を想起させ、ストリートの緊張感が音像から滲み出ているかのような印象を受ける。

ボーカル面では、低音域を活かした太い声質が楽曲の世界観を支えている。フロウは一定のリズムを刻みながらも、要所で緩急をつけることで聴き手の集中力を引きつけて離さない。言葉の詰め方には独自のグルーヴが感じられ、ラッパーとしての技術的な成熟を彷彿とさせる瞬間がある。

リリックの世界観としては、タイトル『USD』が象徴するように、金銭や成功への執着、あるいはそれに伴う葛藤といったテーマが浮かび上がってくるように思える。断定はできないものの、現代ヒップホップシーンにおけるリアルな生活感覚を言葉に落とし込んでいるような印象だ。深夜のドライブや一人で集中したい時間に流すと、この新曲の持つ空気感がより染み込んでくるだろう。

編集部としては、この楽曲が持つ抑制の効いたプロダクションと、その中で光るライミングのセンスに注目している。派手なドロップに頼らず、ビートとボーカルの緊密な関係性で聴かせるアプローチは、ヒップホップの本質的な魅力を再確認させてくれる。作品を重ねるごとに新たな一面を提示しているようにも感じられ、今後のリリースにも期待が高まる一曲だ。

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※本記事はSpotifyで公開されている楽曲情報をもとに、HIPHOPCs編集部が独自の視点でレビューしたものです。楽曲の解釈は筆者の印象に基づいており、アーティストの公式見解ではありません。



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