今回は読者から「ライターたちが普段聴いてオススメするHipHopアルバムを教えて欲しい」とリクエストがあったので、筆者も「化石」や「浦島太郎」と言われないよう頑張って、遥かなる昔…否、我らの青春時代から最近の推しまでを紹介しようと思う。
ただ、自他共に認めるヒップホップオタクなので、ある程度好みの偏りはあるものの、好きなアーティストや歌が多すぎて選べないのだ。たった5つに絞ることなんて無理ゲーなのである。そこで思いついたのが、「一粒で2度おいしい」もどき、1枚に名アーティストと名曲が沢山詰まったおいしいトコ取りの、映画サウンドトラックの存在。著作権の関係か、最近あまり目にしなくなったものの、今回はヒップホップ系の楽曲が使用されているサントラから推しの5点を紹介しようと思う。
Friday (1996)
まず初めに紹介したいのが、当時横にのけ反りながら「Damn・デーム!」というジェスチャーを流行らせたIce Cube(アイスキューブ)出演の名コメディ『Friday』のサントラだ。どうやらキューブ氏は現在続編を作成中との噂だが、これはヒップホップ好きにはMUSTで聴いて欲しい逸品である。印象的なイントロ「Thank God It’s Friday(TGIF)!ブ、ブ、ブ、ブ、ブヤカッシャ~」から始まるDr. Dre(ドクター・ドレ)の『Keep Their Heads Ringin’』からアイスキューブの『Friday』、その他Cypress Hill(サイプレス・ヒル)、Scarface(スカーフェイス)、Tha Alkaholiks(ザ・アルカホリックス)らが楽曲を提供している。名サウンドトラックの1つである。
Space Jam: Music from and Inspired by the motion picture (1996)
90年代はサントラ黄金期で、名作が多い。もう1つ1996年からの名盤は、『Space Jam』のサントラだ。レジェンドバスケットボール選手Michael Jordan(マイケル・ジョーダン)が主演したアニメと実写の合作品。今は名声が地に落ちてしまったが、当時は大絶賛されたR.Kelly(Rケリー)の『I believe I can Fly』、ノリ良く踊れるQuad City DJ’s(クアッド・シティー・DJズ)の映画と同名『Space Jam』、R&BからはMonica(モニカ)の『For You I will』が耳を癒してくれる。そしてやはり目玉はサイプレスヒルのB-Real(B・リアル)、故Coolio(クーリオ)、Method Man(メソッドマン)、LL Cool J(LLクールJ)そしてBusta Rhymes(バスタ・ライムズ)ら夢のようなオールスターが共演した『Hit ‘Em High (The Monsters’ Anthem)』だろう。MVは若干時代を感じるが、曲自体は一聴したらOGらのスキルに脳天がぶっ飛ぶので是非最後まで聴いてもらいたい。
8 Mile (2002)
いやもう。これを外したらヒップホップのOG達から正座させられ説教ものだろう。言わずもがな名作中の名作『8 Mile』。映画のラスト、敵対するラップグループのリーダーとのフリースタイル合戦は、今見ても鳥肌ものだ。緊張し過ぎてお母さんのスパゲッティを吐いてしまったという強烈なラインが有名な、Eminem(エミネム)の代表曲『Lose Yourself』。OGと言えば、このアルバムには神MC/OG、Rakim(ラキム)様の『R.A.K.I.M.』、Gang Starr(ギャング・スター)の『Battle』、そして今やNYのビジネス億万長者Nas(ナズ)らも楽曲を提供している。またXzibit(イクジビット)やエミネムのBFF(ベストフレンド・フォエバー)の50Cent(50セント)らも参加しているぞ。
Furious 7: Original Motion Picture Soundtrack (2015)
次は2015年に出た『Furious 7』(日本名『ワイルド・スピード SKY MISSION』)のサントラを紹介する。断っておくが、こちらの収録曲はヒップホップだけでは無い。リリースがつい昨日の事ように感じるが、なんとこれもAtlantic Recordsが出した10年前の作品である。同アルバム中の注目曲は、この映画シリーズの主人公を演じていて2013年に交通事故死したPaul Walker(ポール・ウォーカー)に捧げた大ヒット、Wiz KhalifaとCharlie Puthの『See You Again』だが、Kid Ink(キッド・インク)、Tyga(タイガ)、Wale(ワーレイ)、YG、そして今は亡き Rich Homie Quan(リッチ・ホーミー・クアン)が共演した『Ride Out』もカッコイイ。「Aye、Aye(エイ、エイ)」から始まるT.I.とYoung Thug(ヤングサグ)の『Off-Set』もサウスのヒートとカオスを感じる名曲だ。本サントラはヒップホップだけでなく他のジャンルもバランスよく収録されている。
Metro Boomin Presents Spider-Man: Across the Spider-Verse (2023)
さて、最後のひとつは、2年前にリリースされたアニメ映画『Spider-Man: Across the Spider-Verse』のサントラだ。先日Force Festivalで来日公演を果たしたMetro Boomin(メトロ・ブーミン)が全プロデュースした、南部ラッパーのオールスター祭りと言っても過言ではない同作品。当時毎日のように耳にした、メトロ・ブーミン、 Swae Lee(スウェイ・リー)、Lil Wayne(リル・ウェイン)とOffset (オフセット)が共演した同アルバム代表曲『Annihilate』。メトロ氏のビートにA$AP Rocky(A$APロッキー)のキレあるラップと Roisee(ロイス)の鼻にかかった甘い声が絡んだ『Am I Dreaming』、黒魔術の呪文のように「スパイダー」というワードが脳裏にこびりついて離れないOffset(オフセット)とJID(ジェイ・アイ・ディー)の『Spider』などなど、紙面の関係上ここで紹介しきれないメトロ氏の力作が幾つも爆発しているのだ。
まとめ
とりあえず90年代、2000年代、2010年代、2020年代を代表したサウンドトラック5枚をピックアップしてみた。読者の諸君は、お腹(と耳が)一杯になっただろうか?本シリーズ、他のライターのお勧めTop5の記事が順次出るので、筆者も楽しみにしている。乞うご期待!