最近映画界から距離を置いて、ラッパー業を再開したWill Smith(ウィル・スミス)。最近Charlie Sloth(チャーリー・スロース)のトークショー『Fire in the Booth with Charlie Sloth』に出演して、2022年のアカデミー賞でコメディアンでショーの司会者でもあったChris Rock(クリス・ロック)に喰らわせた、悪名高いビンタ事件についてラップしたそうなので、お伝えする。
もちろん、ウィルはクリス・ロックの名前を挙げずに、だがしかし決して唐突とは思えない毒のあるヴァースをスピットした(1:10あたり)。「If you talking crazy out your face up on the stage and disrespect me on the stage, expect me on the stage. Jokers dish it out, cry foul when it’s time to take it. City full of real ones, wasn’t raised to fake it.(ステージでイカれたことを言いふらし俺を侮辱するなら、俺もステージに立つぜ。ジョーカーは批判し、受け入れなきゃなきゃなんねぇ時には反則だと非難する。この街は本物で溢れている。偽るように育てられたわけじゃあねぇんだ)」
4月にリリースしたアルバム制作前、ウィル・スミスはJay-Z(ジェイ・Z)とKendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)2人に電話をしてアドバイスを求めたと明かしていた。その際、大物俳優、兼ラッパーはジェイ・Zから「あんたにとって本当のことを言わなきゃいけない」とアドバイスを受けたと回想していた。またケンドリックからも、「レコードではずっと言うのが怖かったことを言ってくれ」と懇願されたという。「基本的に同じことだ。正直であれってさ。怖かったよ」とスミスは付け加えた。「自分が作りたいレコードを作れ。人々が気に入ってくれると思うレコードを作ろうとするな。本物を作れ、ってね」
恐らくそれもあり、今回のフリースタイルでも素直に例の事件について吐き出したのだろう。つい最近まで、彼がラッパーだったことを忘れていたくらい俳優業が板についていたが、たまに生きた化石のようにオールドスクールのフローのままラップし続けているOGが存在する中(でもそれはそれで安心感があるし、耳心地が良いのだ)、彼のフローは時代とともに変化しているし、なのにそのライミング力はちっとも劣っていない。昨年の、日本が誇るラッパー千葉雄喜氏との『Team Tomodachi(Remix)』コラボも、あらゆるラッパーが色々なバージョンで参戦していた中、圧倒的なベテラン感と存在感を示していた。
要するに、だ。教訓として、ウィル・スミス氏を軽蔑や卑下するイカれたことを発言すると、ビンタと辛辣なフリースタイルラップが待っているようなので、言動にはくれぐれも気を付けよう。