HIPHOPCsでは今回、東京・渋谷を拠点に活動するラッパー、KillaクルーのBLAISEが新たに放つアルバム『Codein Dreaming』BLAISE本人に独占インタビューを実施。
都市の空気を掴み取り、言葉と音でパッケージした、“リアル”の記録である。プロデュースはBSTAの$AINT STØNE。現場でともに過ごす時間の中から生まれた本作には、作り物ではない感情とストーリーテリングが息づいている。
作品に込めた想いや、音へのこだわり。日常の中から生まれる感情と、都市が放つリアルを鋭くすくい取るそのスタイルには、確かな存在感があった。
そんな彼が今、$AINT STØNEと共に放つ新作『Codein Dreaming』とはどのような作品なのか。
まずはその背景にある想いを聞いた。
Q1. アルバム『Codein Dreaming』にはどのような想いが込められていますか?
BLAISE:
今回の作品で何よりも伝えたいのは、BSTAのメンバーである$AINT STØNEとの共作であることです。彼とは普段からよく遊んでいて、その中で自然と生まれた感情や出来事――今年、渋谷という街で実際に体験したことを、リアルなまま音に落とし込みました。
Ito記者 :
なるほど、非常にリアルなその時その時の感情が乗った楽曲ということですね。トラック数からもなり長い計画をされてのリリースに至ったのですか?
BLAISE:
この作品には作ろうとして作ったものではなく、「生まれてしまったもの」としての力があります。聴いた人が、俺たちと同じ目線で渋谷の今を感じ取ってくれたら嬉しいです。
Ito記者 :
“計算”ではなく“必然”として生まれた作品なのですね。渋谷の空気感がそのまま音として息づいている理由のように感じますね。
そうした“偶発的なリアル”を音楽として形にするうえで、やはりサウンド面にも強いこだわりがあったのではないだろうか。
次に、音の質感や制作時の感覚について聞いてみた。
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Q2. 音の質感やサウンド面ではどのようなこだわりがありましたか?
BLAISE:
音の質感には特にこだわりました。ただ美しく整えるのではなく、あえて少し“荒さ”を残すことで、渋谷の雑踏や生々しい空気感をそのままパッケージしています。完璧ではないからこそ伝わるリアルがこの作品の大きな魅力です。
Ito記者 :
あえて荒さを残す、共作していく中で作り込んでいったということですね。リリックもパンチラインが多かったと感じました。
BLAISE:
$AINT STØNEとのやり取りや、それぞれの視点が交差することで、自然体でありながらも深みのある内容になりました。作り込むというより、“今”をそのまま切り取った作品として、是非聴いてもらいたいです。
Ito記者 :
まさに即興に近い感覚でしょうか。インタビューさせて頂きありがとうございました。
インタビューを経て
アルバムを通して聴いてみたところどの曲もやはりフロウが素晴らしいと感じる。そして怒りの中にある哀愁を彼にしか出せない低く荒々しい声で表現している雰囲気が最高であると感じた。
楽曲東京人のリリックにはキャッチーかつ耳に残るフックのライン「黒人日本人、俺混ざった東京人」には、BLAISEという存在の本質が凝縮されているのだろう。
単なるアイデンティティの列挙ではなく、“混ざった”という言葉に込められた葛藤、誇り、そして受容。人種や文化の境界線を越え、東京という都市で形成されたハイブリッドな自我が、わずか10文字の中で鋭く提示されている。
渋谷の雑踏の中で育まれたリアルが、彼の言葉となり、ビートの上に刻まれている。
このリリックは、まさに“今の渋谷”を象徴するものだ。
更にNAMAKAではまさにフローとリリックがパーフェクトにガチっとハマったよう感じるような楽曲であった。アルバム全てを通して聴くことで更にリピートしてしまうだろう。
感想はここまでにして是非楽曲は下記からチェックして聴いて感じて頂きたいと思う。
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作品概要
• タイトル:Codein Dreaming
• アーティスト:BLAISE
• リリース日:2025年5月15日
• 配信形式:Spotify / Apple Music / 他主要ストリーミングサービス
• プロデューサー:$AINT STØNE(BSTA)
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トラックリスト
1. GRAVE WALK ($AINT STØNE)
2. BENZ ($AINT STØNE and BLAISE)
3. A Messy Paradise
4. AND1
5. 東京真
6. NAMAKA
7. Skt BRUV
8. LiLai way
9. High Soda
10. COLD SUMMER
11. ELC
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リンク
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編集後記:
この作品には、言葉にしきれない“渋谷の感情”が詰まっている。
BLAISEと$AINT STØNEが交差させた視点と音の層は、聴き手をただのリスナーから「目撃者」になったような錯覚を覚えた
『Codein Dreaming』は、現代の東京に生きる者にとっての「今」を確かに記録した一枚である。