最近もっぱら業界のご意見番と化しているFat Joe(ファット・ジョー)。昨年12月「2024年はヒップホップ史上最悪の年だった」とこぼしていた彼が、2024年に大活躍した西海岸のレジェンドを褒めたたえた。彼曰く、この1年間でKendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)ほど圧倒的な存在感を示した西海岸のアーティストはいないと吐露したそうだ。
サウスブロンクス出身のOGラッパーは、自身の新ポッドキャスト『Joe and Jada』(ファット・ジョーとこれまたレジェンドOGのJadakiss(ジェイダキス)の番組)で、ドレイクとの確執が始まって以来、ケンドリックがいかにラジオの定番アーティストになったかを振り返った(32:30あたり)。「言えるのは、ケンドリック・ラマーがLAのラジオで何回もかけられているってことだな…」彼は続ける。「先週LAに行ったんだが、こんなのは初めて見たよ。どの曲でも『Turn his TV off…』って感じだ。何だって?これは事実だよ。今、LAでは10曲中9曲がケンドリック・ラマーだ。Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)じゃなく、2Pac Shakur(2パック・シャクール)でもなく。LA出身で、彼ほど圧倒的な存在感を示したアーティストはいない…LA出身の人なら、地球上にケンドリック・ラマーしかいないと思っているだろう。でも、これはあくまでも私の個人的な意見だ」
さて、そのKdot。彼がまた新たな記録を破ったとのニュースが入った。今回は黒人男性によるヘッドライナー、または副ヘッドライナーとしてのコンサート史上最高収益をあげたという話だ。この偉業は4月26日、テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムで達成されたという。このスタジアムで行われた彼のグランド・ナショナル・ツアー(SZAとの共同ヘッドライナー)は、一夜で1182万2,000ドルという驚異的な収益を上げた。この記録は、2022年にLAのSoFiスタジアムで行われたコンサートで980万ドルを売り上げたThe Weeknd(ザ・ウィークエンド)の記録を破ったそうだ。ケンドリックは次々と記録を破り続けてているそうで、先月ミネアポリスでグランド・ナショナル・ツアーが開幕した際には、エミネムが保持していたラップ・コンサート史上最高興行収入記録を破った。ツーリング・データによれば、ミネアポリスでの初日の興行収入は4万7000人を超えるファンの平均192.70ドル(の支出)で910万ドルを超えたという。これにより、ケンドリックは、2019年にオーストラリアのメルボルンでエミネムが達成した記録を超え、ヒップホップコンサート史上最高の興行収入をあげた人物となった。また、これはヒップホップアーティストの前に立ちはだかる900万ドルの壁を突破した、初のラップコンサートでもある。
ファット・ジョーとジェイダキスのポッドキャストは、ふたりのオッサンがダラダラ、バスケやメットガラなどくだらないジョークを飛ばしながら喋っていてそれなりに面白いので、作業中のBGMにピッタリである。Kdotについて言えば、まさにOGラッパーの言う通り。筆者も毎日車を運転しているが、南カリフォルニアでラジオを聴いていると15分~30分に1回はケンドリックの曲が流れる。酷い時は、1時間に5回以上ケンドリックがかかっている。もう洗脳レベルなのだ。そう。たまに他のラッパーの楽曲もかかるが、確かに地球上にケンドリック・ラマーしかいなのでは?という選曲ぶりだ。最近ニューヨークで目撃情報があったキング・クンタ様。大盛況の彼のグランドナショナルツアーは、来週月曜日のマサチューセッツの後西海岸に移り、17日シアトル、そしてホームグラウンドLAに移動となる。