XXXTENTACIONという若き天才を無惨にも失った音楽シーン。彼の息子、ゲキューム・オノフロイ（Gekyume Onfroy）が見せたある画像が、世界中のファンの心を抉った。そのスマホの壁紙には、実際には存在しない“父子の幸せな時間”が刻まれていたのだ。
6歳となったゲキュームが掲げたスマホ。その画面には、彼と母ジェネシス・サンチェス、そして殺された父XXXTENTACIONが、まるで今も共にいるかのように並ぶ。実際、ゲキュームは父の顔すら知らない。父が撃たれて倒れたあの瞬間、彼はまだ母の胎内にいたのだ。
この“嘘の家族写真”が拡散されるや否や、「見ていられない」「悲しすぎて涙が出た」とSNSは騒然。あるユーザーは「人生で見た中で最も悲しい一枚だ」とコメントした。この画像は、人々に「失われた時間」という残酷な現実を突きつけたのである。
殺人犯、謝罪拒否──「俺は悪くない」とSNSで開き直り
この痛ましい現実に追い打ちをかけたのが、XXXTENTACIONを殺害した犯人の一人、マイケル・ボートライト（Michael Boatwright）の信じがたい発言である。彼は世間の怒りを嘲笑うかのように、SNSで「俺は悪人じゃない」「やったことに後悔はない」と公言した。
「たった一つのことで俺を判断するな。真実を知らずにSNSの情報だけを信じるお前らが悪い。俺は謝罪なんかしない。#itsstillfreeme」
この投稿は多くの人間を激怒させた。だが彼の無神経さはこれだけでは終わらない。2023年4月、ゲキュームが家の中で父の写真を指さす映像をInstagramストーリーに投稿し、それに「笑い泣き」の絵文字を重ねて侮辱したのである。
そしてその投稿を見たゲキュームの母ジェネシスに向けて、「彼女、見てるなw 誰か俺に連絡取れって伝えろ。話したい」と投稿。死者への冒涜、遺族への挑発とも言える行動に、ネットは炎上した。
ネット上で激怒の声──「獄中で朽ち果てろ」
SNS上では、彼の非道な言動に対し、「XXXTENTACIONの息子を笑い、母親を侮辱し、盗んだ金を自慢するとは人間のクズ」「マイケル・ボートライトは地獄に堕ちろ」「刑務所で苦しみ続けるべき」といった怒りの声が殺到。
なお、マイケル・ボートライトは、共犯者デドリック・ウィリアムズ、トレイボン・ニュースムと共に、2018年のXXXTENTACION殺害で終身刑を言い渡されている。もはや彼らに社会復帰の道はない。
失われた時間、奪われた未来
ゲキュームが手にした“父との写真”は、実現するはずだった未来の象徴である。だが、その未来は奪われた。彼は“殺された父の面影”と共に生きるしかない。そしてその父を奪った男は、今も反省の色ひとつ見せず、遺族を傷つけ続けている。
この事件は、単なる「一人のラッパーの死」ではない。理不尽な暴力によって未来を断ち切られた命の物語であり、その影は今なお、息子の人生に暗く重くのしかかっている。VIA
