どうやら獄中のSuge Knight（シュグ・ナイト）がインタビューで２Pac（トゥパック）が亡くなる直前の二人の関係について話した模様。これ、Snoop Dogg（スヌープ・ドッグ）が以前触れていて気になっていた話題だったのだが、ふたりの内容が微妙に異なっていて興味深かったので紹介する。
シュグはThe Art of Dialogue（ザ・アートオブダイアローグ）とのインタビューで、スヌープが当時激しいライバルだったDiddy（ディディ）やBiggie（ビギー）に好意的だったことが二人の関係を悪化させたと説明した。「ホテルに戻るとドアを叩く音が聞こえたんだ」と彼は回想した。「ボクサーを履いてドアを開けるとパックが俺の部屋に走ってくる。俺が“What’s up（どうした）？”と聞くと、奴は”ラジオ持ってるか？”って言ったんだよ。興奮気味にラジオをつけて、俺らはラジオでスヌープを聴いたんだ」
「”パックはBull sh!t（デタラメ）だ”。あいつはビギーと一緒に曲をしただろうし、パフィー（ディディ）と一緒に演奏しただろうし、すべての曲をプレイしてただろうな。パックはブチ切れてたんだよ、なぜなら『パックはあの男たちを愛していたから』さ。あいつはいつでも奴らのサポートをしてただろうな”」と、ラジオでスヌープが述べていたとシュグは語った。それを聴いたパックは怒りをあらわにしたそうで、「俺はDeath Row（デス・ロウ）の仲間全員を俺のアルバムに入れたし、俺は仲間のために最前線に立つつもりなんだ。だがこのフール（愚か者）がラジオで俺を侮辱した上、奴らの肩を持つって言ってんのか？オン（戦闘開始）だぜ」と息巻いたらしい。
シュグは「ニューヨークでスヌープの『New York, New York（ニューヨーク、ニューヨーク）』MVの撮影中、彼がビギ―の命令とされる銃撃を受けた時（負傷者はいなかった模様）、パックはさらに激高した」と説明した。その後、ニューヨークに滞在中ふたりは衝突し、スヌープがパックを避けるようになったという。シュグは西海岸に帰ってからデス・ロウのスタジオで、特に内部の問題が（言葉だけでなく）非公開で議論される「Red Room（赤い部屋）」で意見の相違を解決するようふたりのアーティストに勧めたそうだが、それでもスヌープはパックを避け同乗車すらも変えて空港まで向かったそうだ。そしてシュグは言い継いだ。「だがスヌープは決して飛行機に乗らず、フォークもナイフも持たず、パックと話もしなかった」
面白いのがここからである。上記のシュグのコメントは、スヌープが以前2パックと同じ飛行機で帰国し、安全を恐れてナイフとフォークを持ち歩いていたという主張と相反していた。2019年のAngie Martinez（アンジー・マルティネス）のショーでThe Doggfather（ザ・ドッグファザー）はプライベートジェットの同乗していたと述べた上で、「パックは俺に何も言っていなかった。俺はこの男がどんな風に落ち込むかを知ってたさ。だから飛行機に乗って周りを見回した。俺が”What’s upパック？”と言うと、奴らは俺を無視した。俺は飛行機の後ろまで歩いて、毛布を持ってきて、ナイフとフォークも持ってきて、毛布を鼻先まで被って、飛行中ずっとこんな感じで乗ってたよ。奴らの誰かが俺に襲い掛かってきたら、クソ野郎全員を刺すことができるようにね」スヌープは、機内で暴力行為が勃発することなく着陸した後、2Pacにマイク・タイソン戦のためにラスベガスに行くつもりかたずねたが、無視されたと付け加えた。「それが、俺が生きている奴を見た最後だったよ」
さて。シュグさん、スヌープさん、二人の話の相違は面白いしどちらが真実を語っているかは当事者のみぞ知る、である。最近もスヌープさんが2017年に自身がディスっていたにもかかわらず昨年見解を翻し、トランプ大統領支持を表明した。その上大統領就任式でパフォーマンスも行い物議を醸しだしていたが、彼は高IQの天才である。上記のラジオでのパックに対するディディやビギーの件も、何も考えずに発言したとは考え難い。当時彼は彼なりの思惑や思念があったのかもしれないし、今回の大統領支持も考えや信条があるのではと筆者は思っている。シュグさんにおいては、本件に関し嘘を語る理由があるとするならば、自社デス・ロウを乗っ取ったスヌープへの個人的な恨みと報復行為だろう。真実がどうであれ、ただ一つ言えるのは30年経った今でも当時の話題がニュースになっているという事実である。それだけセンセーショナルな事件だったし、この偉大なるラッパーの影響力を物語っているのではないだろうか。
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- https://hiphopdx.com/news/2pac-snoop-dogg-fight-disloyalty-suge-knight
