J・コールとケンドリック・ラマーは、ヒップホップ界を代表するアーティストでありながら、その関係性は複雑だ。お互いに敬意を示す場面もあれば、火花を散らす場面もあり、ここ最近はその関係がさらに注目を集めている。そんな中、J・コールは自身のポッドキャスト「Inevitable」の中で、ケンドリックとの過去を振り返るだけでなく、2曲の未発表コラボ曲を公開した。
未発表の2曲「Temptations」と「Shock the World」
今回公開された2曲は、長年のJ・コールとケンドリック・ラマーのファンにとってはおなじみの名前かもしれない。「Temptations」と「Shock the World」は、2010年当時、レコードストアでのリリースイベントで一部が初披露された楽曲だ。イベント会場ではケンドリックがファンと一緒にこれらの曲を披露する場面が映像として記録されており、現在もYouTubeでその一部が確認できる。ただし、当時の音源は音質が悪く、ファンの歓声や雑音に紛れていたため、詳細を知るのは難しかった。
今回、J・コールはこれらの楽曲を高音質のまま初めて公開。ファンにとっては待望の瞬間となった。「Temptations」では、J・コールのビートに乗せて2人が華麗にリリックを繰り広げる。一方、「Shock the World」では、TDE（トップ・ドッグ・エンターテインメント）の元メンバー、BJ・ザ・シカゴ・キッドがサビを担当し、ケンドリックとコールのラップが見事に融合している。さらに、コールのポッドキャストではこれらの曲がどのように制作されたのか、当時のスタジオでの2人のケミストリーについても語られた。
2人の関係性と最新の動向
これらの楽曲は、現在の2人の関係を踏まえると一層感慨深いものだ。ここ1年、J・コールとケンドリック・ラマーの関係は緊張が高まっている。特に、コールが最近リリースした「Port Antonio」は、ドレイクも絡む一連の確執について語った内容になっており、彼がこの争いから距離を置いた理由を説明している。ファンの間では「ビッグ・スリー」の中でコールの評価が最も揺れていると言われる中、彼が過去を振り返り、ケンドリックとの関係にある種の決着をつけた姿勢は注目に値する。
未発表のコラボ曲を通じて、J・コールとケンドリック・ラマーという2人のアーティストがかつて持っていた可能性と、その「もう一つの歴史」を垣間見ることができる。ファンにとっても、彼らの音楽的な魔法を改めて体感する貴重な機会となったと言えるだろう。Via
