ACLフェスでの驚きのパフォーマンス
タイラー・ザ・クリエイターは、自らのスタイルを貫き、常に自由な表現を行うアーティストである。彼の音楽キャリアにおいては、テーマや音楽性が変わり続けているが、一貫して変わらないのは彼の斬新なユーモアである。今回のACLフェスティバルでのパフォーマンスもその一例だ。2017年の名曲「911/Mr. Lonely」を披露する際に、彼は曲の一部を大胆に変更し、テスラの創業者であるイーロン・マスクをディスった。
この変化は、最近の大衆文化におけるマスクの位置づけを反映している。かつては称賛されていた彼だが、現在ではその評価が大きく変わりつつある。タイラー・ザ・クリエイターもその流れに乗り、元々の楽曲でマスクに言及していた部分を、意図的に批判的な表現に変えた。
元々の「911/Mr. Lonely」では、マスクに対して特に強い感情はなく、韻を踏むために彼の名前が使われていただけだった。歌詞では「このセリーヌのサングラスで視界がぼやける。ガソリンはもういらない、イーロン・マスクに感謝、俺のショーはソールドアウト」と歌っていた。しかし、今回のライブでは、タイラーは「イーロンなんてクソくらえ!」と叫び、観客の歓声を浴びた。
このような変心は、彼に限らず、多くの人々がマスクに対する見方を変えてきたことを示している。タイラー・ザ・クリエイター自身も、かつてはマスクを高く評価していた時期があった。2016年には、Twitter上で「@elonmusk 世界を変えてくれてありがとう」と彼に感謝を述べている。しかし、ここ数年でマスクの行動や発言が変わり、それに伴って彼に対する評価も大きく変わっている。
また、2015年のHot 97でのインタビューでは、タイラー・ザ・クリエイターはマスクを「ラップ界の大物たちと並ぶ存在」として賞賛していた。しかし、今となってはその発言も見直しが必要かもしれない。彼は当時の状況を予測できたわけではなく、近年のマスクの動向や、特にX(旧Twitter)を買収したことで、タイラーの評価は大きく変わっている。
結論:変わりゆくイメージとタイラーのメッセージ
イーロン・マスクは、かつて称賛される存在だったが、最近ではその評価が揺らいでいる。そしてタイラー・ザ・クリエイターも、かつてマスクを称賛していたが、現在ではディスするほどに評価が変わっている。大衆文化におけるマスクの位置づけは、今後も変化し続ける可能性があるが、タイラーはその最前線に立っていることは間違いない。