Lil Uzi Vert『Regular』|レビュー&解説

    Lil Uzi Vert『Regular』は、ハードなトラップビートとキャッチーなメロディラインが融合した、現代USヒップホップのエネルギーを凝縮したバンガーである。冒頭からリスナーを引き込む重厚なキックと808ベースが特徴的で、Uziのシグネチャーともいえるハイトーンボイスが疾走感のあるフロウで楽曲全体を駆け抜けていく。トラップ特有のハイハットロールが緊張感を煽りながら、ドロップでは一気に開放されるグルーヴが心地よい。USヒップホップシーンにおいて独自のポジションを確立してきたこのラッパーが、さらに洗練されたアプローチで新たな一面を提示していると捉えられる。

    ビート構成においては、ミニマルながらも計算されたプロダクションが光る。低音域を支配する808ベースは深く沈み込むような質感を持ちながら、上ネタにはシンセの浮遊感あるメロディが配置され、ハードとメロウの絶妙なバランスを実現している。Lil Uzi Vertのボーカルアプローチは、曲全体を通してエネルギッシュでありながらも、随所にメロディアスなフックを挿入することでポップな親しみやすさも兼ね備えている。ライミングのパターンも多彩で、緩急をつけたフロウの切り替えがリスナーを飽きさせない構成となっている。

    リリックの世界観は、成功と自信に満ちた内容でありながら、Uziらしいユニークな言葉選びが随所に散りばめられている。タイトルの「Regular」という言葉とは裏腹に、彼の生き様は決して普通ではないという皮肉めいたメッセージ性も感じられ、このコントラストがこの新曲の魅力をさらに際立たせている。

    この楽曲は、深夜のドライブで音量を上げて聴きたくなるトラックであり、同時にクラブのピークタイムでフロアを沸かせるポテンシャルも持ち合わせている。HIPHOPCs編集部としては、Lil Uzi Vertがキャリアを通じて磨き上げてきたスタイルの完成形の一つとして、ヒップホップファンに広く推奨できる一曲であると評価する。


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