Text by HIPHOPCs編集部
一言で言えば、夜明け前の解放感と倦怠を同時に抱えた空気を感じさせる。Lil Gotitが2025年12月19日にリリースした「5AM」は、タイトル通り朝5時という時間帯の独特な高揚とだるさを描いたトラックだ。ヒップホップにおける”深夜から早朝のモード”を体現した新曲として、注目に値する。
リリックとテーマの分析
本作は「Fraternal: Gotit Edition」収録曲として登場した。プロデューサーにShlappy、Goyard Don、Synthetic、Noah Mejiaの4名が名を連ねている。リリックには「It’s 5 in the morning」というフレーズが執拗に繰り返され、時間そのものがテーマとして前景化される構造だ。ラッパーとしてのLil Gotitは、この時間帯が持つ中間性――夜の残滓と朝の予感が混在する瞬間――を、性的な直接描写と物質的な誇示で塗り固めている。「Purple pints and brown cup」「Chrome hearts grip my face」といった固有名詞の羅列は、アトランタ・トラップが培ってきた記号の使い方を踏襲しつつ、その過剰さがかえって倦怠を透かして見せるようにも聴こえる。
ビートは重心の低いキックと、シンプルなハイハットの反復で構成され、ボーカルの声質は中域でやや篭もった質感を持つ。フロウは一定のテンポを保ちながらも、コーラス部分では語尾を伸ばして緩急をつける手法が目立つ。HIPHOPCs編集部としては、この曲が”朝方の虚脱”と”金と快楽への執着”を並置することで、現代ラップに見られる感情の平坦化を体現しているように感じる。ベースラインはミニマルで、上ネタはほぼシンセのパッド系音色のみという引き算の設計だが、その分ボーカルの距離感が近く、聴き手を夜明けの密室に閉じ込めるような効果を生んでいる。
楽曲全体としては、祝祭的な高揚よりも持続する倦怠の方が前に出る印象だ。Verse 2で「I’m still getting paper, you mad, bitch」と語られる姿勢は、成功の誇示でありながら、それを”まだ続けている”という疲労の色も帯びているように読める。時間帯そのものをタイトルに据えた作品としては、2010年代後半以降のトラップが到達した”感情の均質化”と”場面の記号化”を、最も素直に提示した一曲と言えるかもしれない。どんな気分や場面に合うかと問われれば、深夜の延長としての早朝、眠らずに迎える夜明け、そして次の予定までの空白時間といった、ややだるく開放的な状況に寄り添うトラックだろう。
FAQ
「5AM」はどのアルバムに収録されていますか?
「Fraternal: Gotit Edition」に収録されています。このアルバムはLil GotitとLil Keedの名義でリリースされ、本曲は11曲目にあたります。
この曲のプロデューサーは誰ですか?
Shlappy、Goyard Don、Synthetic、Noah Mejiaの4名がプロデューサーとしてクレジットされています。
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※本記事はSpotify公開情報およびGenius掲載リリックを参照しています。内容は編集部の解釈を含みます。
