文:HIPHOPCs編集部
一言で言えば、他者からの評価や否定を一切受け付けない強固な自己肯定を、攻撃的なフロウで突き付けてくる楽曲のように感じさせる。2024年8月9日に公開されたCHANMINAの「NG」は、ルッキズムや社会からの抑圧に対する明確な反撃を、ヒップホップという形式で提示した新曲だ。この曲を聴いていると、ラッパーとしての彼女がどこに立っているのか、その距離感が鮮明に浮かび上がるように思える。
リリックとテーマの分析
楽曲全体を貫くのは「I might be too real for you」という冒頭のラインが象徴する、誇示と拒絶の同居だ。コーラス部分では「Good body, this unique face that I got」「Answer to none, I never swallow my pride」と畳みかけるように、自分の身体性とプライドを肯定する言葉が並ぶ。ここでの誇示は自己承認というより、むしろ他者との断絶を宣言する行為に近い。ビートはキックが太く低く入り、ハイハットが鋭く刻まれることで、楽曲全体に緊張感を与えている。ベースラインは最小限にとどめられ、上ネタのシンセが冷たく反復されることで、CHANMINAのボーカルが前面に立つ構造が際立つ。
バース1では、「Too skinny, too fat / Too big, too short / Dying, dying, dying, women are dying」という表現が登場する。社会が押し付けるサイズ基準への疲弊が、極めて簡潔な言葉で提示されている点が印象的だ。その直後のプリコーラスで「Shut up, I’m a diva / This sound is CHANMINA」と宣言するフロウの切り替えは、リズムの上で力を込めるのではなく、声のトーンを落とすことで逆に威圧感を増している。バース2に入ると「I go overseas to do shows / While you’re at drinking parties, sucking up everybody」という対比が出てくる。この一節は、キャリアの実績を誇示しつつ、他者への嘲笑を含んでいるようにも読める。全体のフロウは短い単語を繰り返し、リズムに乗せるよりも叩きつける形で展開されており、声質も硬く鋭く維持されている。ここには、溶け合うのではなくビートを押し返すような関係性があるように感じられる。
この楽曲を2024年の日本のヒップホップシーンの中で見たとき、CHANMINAがどの位置にいるかは一目瞭然だ。音楽レビューとしては、単なる自己肯定の楽曲として片付けられる危険性もあるが、ここで重要なのは「誰に向けて語っているのか」という視点である。彼女は「I’m a thousand years too early for you」と歌うが、この距離の取り方は、現在の同時代的なリスナーではなく、未来または抽象的な他者に向けたメッセージとして機能しているように思える。雰囲気としては、誇示が内省を覆い隠しているのではなく、むしろ内省を武器に変換した構造があるように見える。それがこの曲の持つ緊張の正体ではないだろうか。
FAQ
CHANMINAの「NG」はどんな内容の曲ですか?
他者からの否定や社会的な抑圧に対して、明確に拒絶と自己肯定を突きつける楽曲です。外見や行動への評価に対し、ラッパーとしての立場から反撃する姿勢が一貫して描かれています。
「NG」はどんな気分のときに聴くのがおすすめですか?
自分の意志を貫きたいとき、他者の評価に疲れたとき、または自分を鼓舞したい場面に合うように感じます。攻撃的なトーンが強いため、内省よりも誇示の気分で聴くとより響くでしょう。
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※本記事はGeniusに掲載された歌詞情報をもとに編集部が独自に解釈・執筆したものです。アーティスト本人の公式見解とは異なる場合があります。
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