月曜日, 12月 22, 2025

【USラップ決定版】いま最も”動いている”ラッパーは誰だ?アクティビティ指数で可視化(2025年12月第3週)

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【USラップ決定版】いま最も”動いている”ラッパーは誰だ?アクティビティ指数で可視化(2025年12月第3週)
HIPHOPCs
Intelligence Unit – Data Driven Hip-Hop Analysis
📅 2025年12月22日 📂 週間アクティビティ指数 ✍️ Rei Kamiya(HIPHOPCs INTELLIGENCE UNIT)

【USラップ決定版】いま最も”動いている”ラッパーは誰だ?アクティビティ指数で可視化(2025年12月第3週)

📊 今週のサマリー(2025年12月12日〜21日)

USヒップホップシーンは、21 Savageが新アルバム『WHAT HAPPENED TO THE STREETS?』と「F**k the Streets」ムーブメントで首位を独走。Travis Scottの新曲MVとスニーカー戦略、Kendrick Lamarのツアーとグラミー9部門ノミネートが続き、ベテランNas×DJ Premierの歴史的コラボも高評価。データから現代USヒップホップの多様な成功モデルが浮き彫りとなった。

今週の結論:21 Savageが総合1位、多様な戦略が交錯

今週のアクティビティ指数ランキングでは、21 Savageが140点で首位に立った。初週90,000ユニットという高いアルバム売上に加え、Young ThugとGunnaの和解を仲介した「F**k the Streets」ムーブメントがメディアとSNSの話題を独占。2位には、新曲MV公開とスニーカーリリースで話題を呼んだTravis Scottが132点でランクイン。3位は、ツアーの成功とグラミーノミネートで揺るぎない評価を得たKendrick Lamarが122点で続いた。

今週のTop 5ハイライト
順位 アーティスト スコア 今週のハイライト
1位 21 Savage 140 アルバム初週90k売上、「F**k the Streets」ムーブメント主導
2位 Travis Scott 132 新曲「PBT」MV公開(1日220万再生)、新スニーカー同時リリース
3位 Kendrick Lamar 122 「Grand National Tour」成功、グラミー賞9部門ノミネート
4位 Nas 122 DJ Premierとのコラボアルバム『Light-Years』、Rolling Stone等で絶賛
5位 Drake 118 Spotify史上初1,250億ストリーム突破、カタログの圧倒的強さ

Top 5 アーティスト深掘り分析

1位 21 Savage(140点)

今週のUSシーンの話題は21 Savage一色だった。ニューアルバム『WHAT HAPPENED TO THE STREETS?』のリリースに加え、「F**k the Streets」という強烈なメッセージを掲げ、シーンの分断を修復しようとする姿勢が大きな反響を呼んだ。

21 Savage:8項目スコア内訳
評価項目 スコア 分析
Streaming 18 アルバム初週90,000ユニット売上。Spotify US 45位にランクイン。
YouTube 14 MV活動は控えめ。過去作の安定した再生を維持。
TikTok 12 「F**k the Streets」がミーム化し、関連投稿が急増。
SNS 18 ムーブメント主導。Instagram、Xで関連投稿が大量に拡散。
メディア露出 20 Billboard、HotNewHipHop、Complex等で大きく報道。
リリース 20 新アルバム『WHAT HAPPENED TO THE STREETS?』リリース。
コラボ 18 Drake「MR RECOUP」客演。Young Thug・Gunna和解を仲介。
話題性 20 「F**k the Streets」ムーブメントがシーン全体に波及。
🔍 INTELLIGENCE UNIT視点

21 Savageは、単なるラッパーから「シーンのオピニオンリーダー」へと進化を遂げた。Young ThugとGunnaの件に介入し、ポジティブなムーブメントへと昇華させた手腕は、彼のブランド価値を音楽以上に高める結果となった。この「社会的影響力」こそが、今週の圧倒的1位の要因である。

2位 Travis Scott(132点)

Travis Scottは、得意の「音楽×ファッション×カルチャー」のクロスオーバー戦略で2位につけた。新曲「PBT」のMV公開に合わせ、自身のシグネチャースニーカーをドロップ。若年層を中心としたファンベースを熱狂させた。

Travis Scott:8項目スコア内訳
評価項目 スコア 分析
Streaming 16 カタログ楽曲の継続的な人気。新曲リリース直後で今後に期待。
YouTube 18 「PBT」MV公開。公開初日で220万再生を記録。
TikTok 14 「PBT」がTikTokで使用され始め、バイラルの兆し。
SNS 18 Instagramで新アルバム制作中を発表。期待感を醸成。
メディア露出 16 Vibe、Soleretriever等でMVとスニーカーリリースを報道。
リリース 16 「PBT」MV公開。Tyla、Vybz Kartelを客演に迎える。
コラボ 16 Tyla、Vybz Kartel客演。Jordan Jumpman Jackスニーカーリリース。
話題性 18 新アルバム制作中の情報リーク。ファンの期待値が急上昇。
🔍 INTELLIGENCE UNIT視点

Travis Scottの動きは常に「イベント」化されている。MVとプロダクトを同時に投下することで、視覚と物欲の両面からファンを刺激し、瞬間最大風速的なバズを作り出す能力は現行シーン随一だ。新アルバム制作中の情報もリークされ、期待値のコントロールも巧みである。

3位 Kendrick Lamar(122点)

ビーフの喧騒を離れ、Kendrick Lamarは純粋なアーティストとしての評価を積み上げている。「Grand National Tour」の成功に加え、グラミー賞9部門ノミネートが報じられ、批評家と大衆の両方から支持を集めた。

Kendrick Lamar:8項目スコア内訳
評価項目 スコア 分析
Streaming 18 「GNX」週間19,000ユニット売上。カタログ楽曲も根強く再生。
YouTube 16 ツアーのライブ映像が多数アップロード。ファンの関心を維持。
TikTok 16 「Not Like Us」がTikTokで継続的に使用。ミーム化も進行。
SNS 14 本人の投稿は控えめ。謎めいたスタンスを維持。
メディア露出 18 Rolling StoneでGNX制作秘話公開。グラミーノミネート報道も多数。
リリース 10 今週は新リリースなし。
コラボ 12 「GNX」のコラボレーターが話題に。SZAとの楽曲が評価高い。
話題性 18 「Grand National Tour」Top 5入り。グラミー9部門ノミネート。
🔍 INTELLIGENCE UNIT視点

派手なSNSパフォーマンスを行わずとも、作品の質とライブだけで話題を維持できる稀有な存在。Rolling Stoneでの制作秘話公開など、メディア露出の質も高く、批評家と大衆の両方から支持を集める「王道」の強さを見せつけた。

4位 Nas(122点)

90年代からのリリシストNasが、盟友DJ Premierとのフルアルバム『Light-Years』をついにリリース。長年のヒップホップファンの夢を叶えるこのプロジェクトは、シーンに重厚なインパクトを与えた。

Nas:8項目スコア内訳
評価項目 スコア 分析
Streaming 16 『Light-Years』週間21,000ユニット売上。コア層が熱狂的に支持。
YouTube 12 公式MVを公開。安定した再生数を記録。
TikTok 8 TikTokでの使用は限定的。若年層へのリーチは弱い。
SNS 12 Instagramでアルバムをプロモーション。
メディア露出 18 Rolling Stoneで高評価レビュー。「Real Hip Hop復活」と報道。
リリース 20 DJ Premierとのコラボアルバム『Light-Years』リリース。
コラボ 20 DJ Premierとの歴史的コラボ。長年のファン待望のプロジェクト。
話題性 16 「Real Hip Hopの復活」というメッセージがコア層に響く。
🔍 INTELLIGENCE UNIT視点

NasとDJ Premierのタッグは、数値以上の重みを持つ歴史的イベントだ。トレンドを追う若手とは一線を画し、ブーンバップの美学を貫くことで、コア層からの熱狂的な支持(エンゲージメント)を引き出した。TikTokでの弱さは課題だが、それを補って余りある「レジェンドの威光」がある。

5位 Drake(118点)

新譜のリリースがないにも関わらず5位にランクインしたDrake。その理由は、Spotifyでの「1,250億ストリーム突破」という前人未到の記録だ。過去のヒット曲が常にチャートに居座り続ける「カタログの強さ」だけで上位をキープする底力は驚異的である。

Drake:8項目スコア内訳
評価項目 スコア 分析
Streaming 20 Spotify史上初1,250億ストリーム突破。「Take Care」週間24k売上。
YouTube 14 カタログMVの継続的な再生。新規動画なしでも安定。
TikTok 14 「Headlines」「Hotline Bling」等がTikTokで継続使用。
SNS 12 投稿は控えめ。沈黙を保つスタンス。
メディア露出 18 1,250億ストリーム突破がBillboard等で大きく報道。
リリース 8 今週は新リリースなし。
コラボ 16 21 Savage「MR RECOUP」に客演。
話題性 16 Kendrick Lamarビーフの余波。沈黙が逆に話題を呼ぶ。
🔍 INTELLIGENCE UNIT視点

Drakeはもはや「インフラ」に近い存在となっている。新曲を出さずとも、世界中のプレイリストで彼の曲が再生され続け、自動的に収益と話題を生み出すシステムが完成している。ビーフの余波さえも話題性に変えてしまうタフさも健在だ。

週間アクティビティ指数 Top 15(2025年12月12日〜21日)

USヒップホップ週間アクティビティ指数(各項目20点満点、合計160点満点)
順位 アーティスト 合計 Str YT TT SNS メディア Rel Collab Buzz
1 21 Savage 140 18 14 12 18 20 20 18 20
2 Travis Scott 132 16 18 14 18 16 16 16 18
3 Kendrick Lamar 122 18 16 16 14 18 10 12 18
4 Nas 122 16 12 8 12 18 20 20 16
5 Drake 118 20 14 14 12 18 8 16 16
6 Polo G 112 14 12 10 12 14 20 16 14
7 Cardi B 108 16 12 12 14 14 16 10 14
8 Don Toliver 106 14 12 12 12 12 16 16 12
9 Young Thug 106 12 10 12 16 18 8 12 18
10 Pooh Shiesty 104 14 12 12 12 12 18 10 14
11 Dave East 98 12 12 8 12 12 18 12 12
12 Lil Baby 98 16 12 10 12 12 14 10 12
13 DaBaby 96 12 12 10 12 10 18 10 12
14 Logic 94 12 12 8 12 10 18 10 12
15 Conway the Machine 94 12 12 8 12 10 16 12 12

※凡例:Str=Streaming / YT=YouTube / TT=TikTok / Rel=Release

※データ取得日:2025年12月22日(JST)

今週のシーン分析:社会的メッセージとカタログ資産の二極化

今週のUSシーンは、21 Savageのように社会的メッセージを発信してシーンを動かす「アクティブな影響力」と、Drakeのように既存の資産でチャートを維持する「パッシブな影響力」の対比が鮮明だった。

Travis Scottは、音楽とファッションを連動させるクロスオーバー戦略で独自のポジションを確立。Kendrick Lamarは、派手なSNS活動なしに作品の質とライブだけで評価を維持する「王道」を示した。そしてNasは、トレンドを追わずブーンバップの美学を貫くことで、コア層の熱狂を引き出した。

USヒップホップシーンには、複数の成功モデルが並存している。今週のランキングは、その多様性を可視化したものと言える。

来週の予測:クリスマス商戦と新リーク情報

  • 21 Savage:「F**k the Streets」ムーブメントがさらに拡大し、メディア露出が増加する可能性
  • Travis Scott:新アルバムに関する情報がさらにリークされ、期待感が高まる
  • クリスマス曲の影響:年末に向けてMariah Carey等のクリスマスソングがチャートを独占するため、Hip-Hop楽曲は一時的に順位を下げる可能性
  • Kendrick Lamar:グラミー授賞式に向けた動きが活発化する可能性

アクティビティ指数の定義(US版)

本ランキングは、以下の8項目を各20点満点、合計160点満点で評価し定量化したものである。

  • Streaming:Spotify/Apple Musicのチャート順位、週間売上ユニット数
  • YouTube:MV/Audioの再生数、トレンド入り、チャンネル登録者数の推移
  • TikTok:楽曲使用数、バイラル度、ダンスチャレンジ、ミーム化
  • SNS:Instagram/Xでのエンゲージメント、フォロワー増加、投稿頻度
  • メディア露出:Billboard、Complex、Rolling Stone、XXL等の主要メディア掲載
  • リリース(Release):新曲・アルバム・EPのリリース規模とインパクト
  • コラボ(Collab):フィーチャリング、プロデュース、異業種コラボレーション
  • 話題性(Buzz):ビーフ、社会活動、ゴシップ、ミーム化、シーンへの影響

編集方針と免責事項

  • 目的:本記事は、データに基づいた客観的な視点を提供することを目的としています。
  • データソース:Spotify Charts、Billboard、各SNS公開データ、主要音楽メディア。
  • 免責事項:スコアは活動量を測る指標であり、芸術的優劣を決定するものではありません。
  • 更新頻度:本シリーズは毎週日曜日に更新予定です。

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