【日本語ラップ決定版】いま最も"動いている"ラッパーは誰だ?アクティビティ指数で可視化(2025年11月第4週)
導入:データで読み解く日本語ラップの”今”
「今、最もリアルに動いているラッパーは誰か?」
この問いに、感覚ではなく実データで答えるのが、我々『HIPHOP INTELLIGENCE UNIT』が提供する「週間アクティビティ指数」だ。本レポートは、2025年11月22日から28日までの1週間、日本語ラップシーンで活動するアーティストの動きを8つの指標で定量的に評価し、その活動量をスコア化した唯一無二のランキングである。
SNSでの発信、楽曲リリース、メディア露出、そしてチャートアクション。これらの膨大な公開情報を統合・分析することで、シーンの表層的な話題だけでは見えてこないアーティストの”熱量”を可視化する。今週、日本語ラップシーンを最も揺るがしたのは誰か。データの深層から、その答えを導き出す。
今週の結論:歴史的アルバムがシーンを席巻、ベテランとフィメールの躍進
今週の日本語ラップシーンは、AwichとJinmenusagiによる大型アルバムのリリースが他を圧倒し、ランキング上位を独占する結果となった。特にAwichの動きは、過去数ヶ月の観測の中でも突出しており、日本語ラップのグローバル展開における分水嶺となり得る。一方、新作リリースがない中でもCreepy Nutsがその影響力を見せつけ、フィメール勢ではCHANMINA、MaRIがそれぞれ大きな動きを見せるなど、シーンの多角的な広がりが確認できる週であった。
| 順位 | アーティスト | スコア | 今週のハイライト |
|---|---|---|---|
| 1位 | Awich | 142点 | Wu-Tang ClanのRZAプロデュースによる歴史的アルバム『Okinawan Wuman』をリリース。世界市場への明確な意志を示した。 |
| 2位 | Jinmenusagi | 132点 | 11年ぶりの続編となるアルバム『ALXVE』をリリース。グラミー受賞エンジニアを起用し、豪華客演陣が集結。 |
| 3位 | Creepy Nuts | 118点 | 新作リリースなしにも関わらず、YouTube総再生17億回超えの圧倒的影響力で3位にランクイン。 |
| 4位 | CHANMINA | 117点 | Spotifyチャートに2曲同時ランクインし、NHK紅白歌合戦出場も決定。安定した人気を証明。 |
| 5位 | 唾奇 | 113点 | 自身初となる日本武道館公演の開催を控え、期待感が最高潮に。Paleduskとのコラボ曲も話題。 |
Top 5 アーティスト深掘り:8項目スコア分析
1. Awich (142点) – 日本語ラップ史を塗り替える、世界への狼煙
今週、日本語ラップシーンの頂点に立ったのは、Awichだ。Activity Score 142点という高得点は、彼女が投じた一石の歴史的な重要性を物語っている。11月22日にリリースされた新アルバム『Okinawan Wuman』は、伝説的グループWu-Tang ClanのRZAが全編プロデュースを手掛けるという、日本のヒップホップ史において前代未聞のプロジェクトである[1]。
この動きは、「楽曲リリースの予兆」「コラボ/客演の予兆」「動く理由」の3項目で満点の20点を獲得。特に、Joey Bada$$を客演に迎えた先行シングル「Fear Us」や、リリースを告知した本人のInstagram投稿が国内外で大きな反響を呼んだ事実は、彼女の動きが単なる国内の話題に留まらない、世界市場に向けた明確な狼煙であることを示している[2]。我々が過去数ヶ月観測してきた中でも、これほど明確にグローバル市場を意識した動きは稀であり、今後1〜2週間で海外メディアからのレビューやインタビューが急増し、彼女の国際的な評価は新たなフェーズへと突入するだろう。
2. Jinmenusagi (132点) – 11年の時を経て放たれる、生と”今”の詩
2位には、11年の沈黙を破りシーンに帰還したJinmenusagiがランクイン。Activity Score 132点は、彼の待望の新作がシーンに与えた衝撃の大きさを表している。11月27日にリリースされたニューアルバム『ALXVE』は、2014年の名盤『LXVE -業放草-』の正式な続編であり、彼のキャリアの集大成とも言える作品だ[3]。
本作は、ANARCHY、般若、鎮座DOPENESS、仙人掌、DJ KRUSHといった新旧のレジェンドたちが客演・プロデューサーとして名を連ね、マスタリングはグラミー受賞エンジニアのMike Bozziが担当するなど、その布陣はまさに鉄壁。「コラボ/客演の予兆」「楽曲リリースの予兆」で高得点を記録した。特に、先行公開された仙人掌との楽曲「BAKI」で見せた「吸うことより吐くものこそラッパーはこだわる」という一節は、既に日本語ラップ史に残る名言として語り継がれている。11年という歳月を経て、彼が何を語るのか。シーンの注目が一点に集まっている。
3. Creepy Nuts (118点) – “現象”は終わらない、圧倒的影響力の証明
新作リリースがなかったにも関わらず、Creepy Nutsが堂々の3位にランクイン。Activity Score 118点は、彼らの活動が単発のヒットではなく、持続的な”社会現象”となっていることの証左だ。「YouTube動画の速度」では満点の20点を記録。公式チャンネルの総再生数は17億回を超え、「Bling-Bang-Bang-Born」のストリーミング累計再生数は9億回を突破するなど、その数字は他の追随を許さない[4]。
彼らのようにリリース期間外でも高いスコアを維持するパターンは、「Bling-Bang-Bang-Born」以降に定着したもので、活動の主戦場がCDや単発のライブから、YouTubeやTikTokといったプラットフォーム上での持続的なプレゼンスへと移行した現代のヒットの形を象徴している。Spotify日本チャートでは688位と落ち着きを見せているが、これはあくまで国内チャートの話。彼らの影響力は今なお拡大し続けている。
4. CHANMINA (117点) – チャートの女王、紅白出場で新たなステージへ
4位には、実力と人気を兼ね備えたフィメールラッパーの筆頭、CHANMINAがランクイン。Activity Score 117点は、彼女の安定した活動と、年末に向けた大きな動きを反映している。今週、Spotify日本チャートにおいて、新曲「SAD SONG」(48位)と、リリースから1,300日以上が経過した「Never Grow Up」(63位)の2曲を同時にランクインさせるという快挙を達成[5]。これは、彼女が持つ楽曲の強度と、ファンダムの熱量の高さを物語っている。
さらに、2025年末の第76回NHK紅白歌合戦への出場も決定しており、「メディア露出」「動く理由」で高得点を獲得。テレビ番組「今夜くらべてみました」への出演など、ヒップホップの枠を超えた活動も活発だ。チャートでの強さと、マスへの影響力を両立させる彼女の存在は、日本語ラップシーンにおいて唯一無二と言えるだろう。
5. 唾奇 (113点) – 聖地・武道館へ、沖縄の風が吹く
5位には、沖縄出身のラッパー唾奇がランクイン。Activity Score 113点は、目前に迫った大舞台への期待感の表れだ。彼は、2025年12月16日に、自身初となる日本武道館での単独公演「Camellia」の開催を控えている[6]。これは、沖縄出身のラッパーとしては初の快挙であり、彼のキャリアにおける最大のハイライトとなることは間違いない。「動く理由」で満点の20点を獲得した。
さらに、今週はロックバンドPaleduskとのコラボ曲「SUPER NATURAL HIGH feat. 唾奇」が、TVアニメ「ガチアクタ」の挿入歌に決定したことも発表され、「コラボ/客演の予兆」でも高得点を記録[7]。武道館公演という頂点に向かって、彼の活動は今、まさに最高潮に達しようとしている。沖縄から吹く新しい風が、聖地・武道館をどのように揺るがすのか。シーンの誰もが固唾を飲んで見守っている。
日本語ラップ 週間アクティビティ指数 Top 15
| 順位 | アーティスト | スコア | 今週のハイライト |
|---|---|---|---|
| 1位 | Awich | 142 | Wu-Tang ClanのRZAプロデュースによる歴史的アルバムをリリース |
| 2位 | Jinmenusagi | 132 | 11年ぶりの続編アルバムをリリース、豪華客演陣が集結 |
| 3位 | Creepy Nuts | 118 | YouTube総再生17億回超え、圧倒的な影響力を維持 |
| 4位 | CHANMINA | 117 | Spotifyチャート2曲同時ランクイン、NHK紅白歌合戦出場決定 |
| 5位 | 唾奇 | 113 | 自身初の日本武道館公演を控え、期待感が最高潮に |
| 6位 | MaRI | 107 | 新EPの勢いを追い風に、全国13公演のクラブツアーを開始 |
| 7位 | 仙人掌 | 99 | Jinmenusagiの楽曲「BAKI」での客演が大きな話題に |
| 8位 | 般若 | 95 | Jinmenusagiのアルバムに客演、レジェンドとしての存在感を示す |
| 9位 | ANARCHY | 94 | Jinmenusagiのアルバムに客演、ストリートのレジェンドとして健在 |
| 10位 | FRANKEN | 94 | 元祖高速ラップの達人、DJ RINDとのコラボ作をリリース |
| 11位 | 鎮座DOPENESS | 88 | Jinmenusagiのアルバムに客演、唯一無二のスタイルを披露 |
| 12位 | GAKU-MC | 85 | 新曲をリリース、リビングレジェンドとして活動継続 |
| 13位 | YUTORI-SEDAI | 83 | 新シングルをリリース、若手として注目 |
| 14位 | D3adStock | 82 | Jinmenusagiのアルバムに客演・プロデュースで参加 |
| 15位 | C6ix | 81 | Jinmenusagiのアルバムに客演、若手としての存在感を示す |
今週のシーン分析:アルバムリリースがシーンを牽引、ベテランとフィメールの躍進
今週の日本語ラップシーンは、AwichとJinmenusagiという二人のアーティストによる大型アルバムのリリースが最大のトピックであった。特にAwichの作品は、Wu-Tang ClanのRZAをプロデューサーに迎えるという、これまでの日本語ラップの常識を覆すスケールであり、シーン全体に大きな衝撃を与えた。これは、日本語ラップが本格的に世界市場を視野に入れ始めた象徴的な出来事と言えるだろう。
また、Jinmenusagiのアルバムに般若、ANARCHY、鎮座DOPENESS、DJ KRUSHといったレジェンドクラスのアーティストが集結したことも、今週の大きな特徴だ。これは、世代を超えたアーティスト同士のリスペクトと交流が、シーンの創造性を活性化させていることを示している。ベテラン勢が若手の作品に力を貸し、シーン全体のレベルを引き上げるという、健全なエコシステムが形成されつつある。
一方で、Spotifyの日本国内チャートにおいては、依然としてJ-POPが圧倒的な強さを見せており、日本語ラップの存在感は限定的である。CHANMINAが健闘しているものの、シーン全体として、ストリーミングプラットフォームでのヒットをいかに生み出すかという課題は依然として大きい。Creepy Nutsのように、アニメタイアップをきっかけに国民的なヒットを生み出す成功例を、今後どのように再現していくかが、シーンの未来を占う上で重要な鍵となるだろう。
来週の“動きそうな”ラッパー予測
- Awich: 今週アルバムをリリースした彼女の動きは、来週さらに加速する。初週のセールスやストリーミングの成績が発表され、チャートアクションが本格化するだろう。特に、海外メディアからのレビューやインタビューが増え始めれば、彼女のスコアはさらに上昇する可能性がある。
- Jinmenusagi: 同じくアルバムをリリースした彼も、来週はメディア露出が増えることが予想される。音楽雑誌やウェブメディアでのインタビュー、そして客演アーティストたちとの対談企画などが組まれれば、高いアクティビティを維持するだろう。
- 唾奇: 12月16日の日本武道館公演まで3週間を切り、プロモーション活動が本格化する。テレビやラジオへの出演、新たなインタビューの公開など、武道館に向けて話題を最大化させるための動きが活発になるはずだ。
まとめ:ニュースの先を読むINTELLIGENCE
本レポートは、HIPHOPCs内のデータ分析シリーズ「週間アクティビティ指数」の一環として公開している。今週の分析は、日本語ラップシーンが大きな変革期にあることを浮き彫りにした。Awichの世界への挑戦、Jinmenusagiの世代を超えた共演、そしてCreepy Nutsの圧倒的な影響力。これらの動きは、それぞれ異なるアプローチでありながら、シーンの未来を切り拓く可能性を秘めている。
我々『HIPHOP INTELLIGENCE UNIT』は、今後も客観的なデータに基づき、シーンの深層で起こっている変化の兆候を捉え、その意味を解き明かしていく。来週、このランキングはどのように変動するのか。ご期待いただきたい。
