何度も取り上げて申し訳ないのだが、事実この法廷劇が、いよいよ佳境を迎えようとしている。ドレイクが、宿敵ケンドリック・ラマーの契約の裏側を暴こうとしているのだ。標的は、自身も所属する音楽業界の巨人、ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)である。
関係筋が明かしたところによれば、ドレイク側はUMGに対し、ケンドリック・ラマーのレコード契約書の全文開示を法的に要求。その上、インタースコープ・レコードのCEO、ジョン・ジャニックの報酬詳細――すなわち年間インセンティブ・プランまで含めた、トップ幹部の懐事情までも白日の下に晒すよう求めている。
これに対しUMGは即座に反応。連邦裁判所に訴えを起こし、「商業的に極めて機密性が高い情報を不当に求めている」として、情報開示(ディスカバリー)の停止を求めた。しかし、ドレイクの弁護士であるマイケル・ゴットリーブ氏は冷笑交じりにこう言い放った。
「UMGが情報開示を避けたがっているのは当然だ。これは、彼らが闇に葬りたい真実を引きずり出されることを恐れている証拠だ。隠すことがないのなら、開示を拒む理由はどこにもないはずだ」
この対立は、単なる契約上の問題ではない。UMGはさらに、ドレイクによる訴訟そのものを「意味不明な言いがかり」として、訴えの棄却を求める動きを見せた。同社の弁護士は書面で次のように挑発的な表現を用いた。
「自ら仕掛け、自ら敗北したラップバトルの負け犬が、現実逃避のために起こした的外れな訴訟に過ぎない」
これに対し、ゴットリーブ氏は再び火に油を注ぐかのごとく、UMGを「暴利を貪る危険企業」と非難。
「これは単なるラップバトルではない。UMGは、虚偽情報によって利益を得てきた企業であり、それによってすでに数々の暴力事件が発生している。我々は、UMGが長年アーティストを食い物にしてきたその実態を、法廷で明らかにする」
なお、裁判を担当するジャネット・ヴァルガス判事は、UMG側が延期を申し出た4月2日の審問を予定通り開催するとし、情報開示の手続きも正式に開始すると決定。UMGの逃げ道は塞がれた格好だ。
訴訟は今後、ケンドリック・ラマーの契約内容、UMG幹部の金銭的動向、さらには音楽業界の闇そのものへと踏み込む様相を呈しており、ラップ業界の勢力図が根本から覆される可能性もある。全ての真実は、まもなく明かされる。