1996年2月13日は、2Pac(2パック)がDeath Row Records(デス・ロウレコーズ)名義での初アルバム、名作『All Eyez On Me』をリリースした日である。このアルバムは、現在も引き続き聴き継がれている影響力の強い不朽の名作だ。
もうどの曲をとっても名曲しかないが、西海岸のアンセム『California Love(カリフォルニア・ラブ)』や反骨精神に富んだ『Ambitionz Az a Ridah(アンビションズ・アズ・ア・ライダー)』などリリカルでエモーショナルなストーリーテリングに富んだ作品が続くこのアルバム、驚いたことにパックは刑務所から釈放後2週間で収録したらしい。「光あるところに影あり」とはゲーテの言葉だが、このアルバムのリリースによって同レーベルの女性ラッパーLady of Rage(レディー・オブ・レージ)のアルバムリリースが延期し、彼女のキャリアに大きな影を落としたという。
恐らく2Pacファンなら思い出の曲のひとつやふたつ、このアルバムに入っていると思う。お気づきかもしれないが、2枚目のディスクは北カリフォルニアのBayarea(ベイエリア)ラッパーが多く客演しており、アルバムの後半部分はベイエリア色が濃くなっている。筆者は哀愁漂うイントロ、Richie Rich(リッチー・リッチ)の渋声ラップとパックのデュオが織りなすリリカルなやりとりが秀逸な『Ratha Be Ya Nー』が一番のお気に入りである。このふたり、91年頃共通の友人を介して出会った(パックはベイエリアのオークランドに居住していたことがある)そうだ。当時曲を作ったりするのではなく、ただつるんでいたそうだが、その後お互いアーティストとして有名になった後も連絡は取り続け、パックが投獄された後も手紙のやり取りをしていたらしい。インタビューで「俺はあいつの音楽が大好きだった。パックは俺のホームボーイだったから、別の意味で奴を愛してたさ。俺たちがスタジオに入ったとき、俺らはリッチー・リッチとパックではなく、一緒に学校に通っていた二人のダチだった」とベイエリアのOGラッパーは回想していた。余談だが、彼のカスタムバイクの名前は「Makaveli(マキャベリ)」というそうだ。
2Pacファンの皆は今日からしばらく筆者と一緒に『All Eyez On Me』の世界に浸ろう!