水曜日, 4月 2, 2025
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LAから怪物ラッパー現る!今大注目のLefty Gunplay(レフティ・ガンプレイ)について

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by SEI  1月12日

全世界のあらゆるチャートを総なめにしていたKendrick Lamar(ケンドリック・ラマ―)の『TV Off』。曲の最後で、まるで黒魔術の呪文のように「Shit gets crazy, scary, spooky, hilarious…」とだけ唱えていた…否、パンチのあるラインを披露し、その爆発的な存在感で世に名を知らしめたLAの期待株、Lefty Gunplay(レフティ・ガンプレイ:以下レフティ)についてDigってみようと思う。

けだるそうな声で「Gangbang(ギャングバング)♪」

さて。皆さんも「DJ Drop(DJドロップ) 」という言葉を聞いたことがあると思うが、これはDJがあらゆる種類のパフォーマンス中に「ドロップ」する短いナレーションのサンプルを指す。主な目的はアーティスト自身とそのミックスをブランド化するためであり、例えばDJ Khaledの「WE THE BEST」などが挙げられるが、最近はDJやプロデューサーのみならずラッパー自身もDJドロップのような「Tag(タグ)」するようになった。レフティさんが気だるそうなかすれ声でイントロや曲中で呟く「Gangbang(ギャングバング)」もまるでスペルがかかったかのように、筆者の脳裏から離れなくなった。ちなみにギャングバングとは英語で「暴力的なギャング活動に参加すること」「輪姦に参加すること」を意味するので、ギャングじゃない日本人の皆さんは面白がって乱用したり間違えて使用しないように!

レフティさんの生い立ち

実は彼に関しても現時点では情報が少ない。母親はグァテマラ人。父親はミシシッピー出身の白人で、San Gabriel Valley(サンガブリエルバレー)東部の小さな都市 Baldwin Park(ボールドウィン・パーク)出身である。母子家庭、且つ移動式のトレイラーハウスで育ったそうだ。本名Franklin Holladay(フランクリン・ホラデイ)ことレフティ・ガンプレイは、Pelican Bay State Penitentiary(ペリカンベイ州立刑務所)で9年間服役し、出所後2023年末27歳でラッパーとしてのキャリアをスタートする。2023年12月に、OTR Records(注:Seoule$$という韓国ソウル出身のアーティスト兼実業家が設立したLAロングビーチのレコード会社)と契約し、現時点で『 Rookie of the Year 』と先述の『Most Valuable Gangbanger』含む4枚のアルバムをリリースしている。

『Most Valuable Gangbanger』アルバムを聴いてみた

奇しくもLAラッパーの大先輩、Kendrick Lamarの名作『GNX』と同日にアルバムをリリースしてしまい、一切話題に上らなかったレフティさんの『Most Valuable Gangbanger』。だが大先輩の名曲『TV Off』にフューチャリングされ彼自身が一気に知名度を上げたので、結果オーライとでも言うべきだろうか。

かくいう筆者も、『TV Off』のラストに出現した、あの鼻にかかった掠れた声と気だるそうなラップを一聴して、久しぶりにゲゲゲの鬼太郎の妖怪アンテナのような「怪物ラッパーアンテナ」が作動した。ちなみにこの「怪物ラッパーアンテナ」は筆者が勝手に呼んでいる、ヤバみのラッパーを発見した時のみ発動するオタクスイッチのことを指す。もっと聴いてみたいと思ったので、まずは彼のアルバム『Most Valuable Gangbanger』を購入してみた。トラック最初にLAの大御所Snoop(スヌープ)先生を客演に迎え、西海岸らしいギャングスタ風味のトラックが続く。さすがガンプレイという名前だけあって、どのトラックも銃声効果音と銃のリロード音が炸裂している。むしろ無いトラックを見つける方が、難しい。

もちろん顔まで入った全身タトゥーの「ザ・強面ギャングスタ」な見た目も、ウィットに富んだリリックスも、全てにクセがありありだが、レフティさんの強みはその声とフローにあると筆者思う。声が特徴的なラッパーは、それだけで注目を集めやすい。彼のハスキーな声は、どの人も一回聞いたら恐らく忘れないだろう。声や声質は変わらないものの、フローは曲調に合わせて微妙に変えていて、その実力の高さがうかがえる。そして何よりも驚き入ったのは、彼の歌声である。レフティさんは歌が上手いのだ!ラップも良いが、筆者は「え?むしろもっと歌声聴きたいんですけど?」と思ってしまった。

あえて気に入ったトラックを挙げるとすると、同じく『GNX』で客演していた若手Hitta J3さんが参加し、Damn James! X Ty Dolla $ign両氏がプロデュースした『Stoopid』と、彼の歌声が聴ける『Ask For More』である。特に『Stoopid』に関してはLAに深く根付いているラテン系と黒人両コミュニティーの確執の払拭が試みられていて、メッセージ性が強く受け取れる。もちろん、彼の他の曲も聴いてもらいたい。

特筆したいのが、その巧みなラップ力とこの業界長いんですみたいな貫禄に反した、彼のキャリアの浅さである。2023年末なんて一昨年…いや、ほぼ1年前の事ではないか。ガチガチのギャングスタスタイルを貫いているレフティさんだが、インタビューで語っていた夢はDr.Dreが彼のアルバムをプロデュースすることだそう。Ty Dollaさんとの相性も良かったし、プロデューサー次第で良さが抜群に発揮できるアーティストのようなので、是非Dr. Dre x Lefty Gunplay実現して欲しいなぁ、と切に願う筆者なのである。今後も彼の動きに注目したい。

Sources:https://youtu.be/C_XQSADXx54?si=bmzqUimWaHw9iozc

Sources:https://lataco.com/lefty-gunplay-baldwin-park-rapper

Sources:https://www.passionweiss.com/2024/06/24/lefty-gunplay-interview-rookie-of-the-year/

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