Joey Bada$$(ジョーイ・バッドアス)は、現代のヒップホップシーンで最も知的で意識的なラッパーの一人として広く知られている。そのリリックには、社会問題や個人的な葛藤、自己成長が深く反映されており、若い世代に影響を与え続けている。彼の音楽は、90年代のゴールデンエイジのヒップホップに強く影響を受けながらも、現代的な感覚を取り入れた独自のスタイルで展開されている。この記事では、Joey Bada$$の経歴、彼の代表的なヒットソング「Temptation」と「Devastated」の和訳を交えながら、彼の知的な人間性や大麻を吸わない理由なども深掘りしていく。
Joey Bada$$の経歴
Joey Bada$$(本名:Jo-Vaughn Virginie Scott)は、1995年1月20日にニューヨーク州ブルックリンで生まれた。カリブ系アメリカ人の家庭に生まれ育った彼は、音楽や詩に早くから興味を持ち、高校時代に地元の仲間たちと「Pro Era」というヒップホップ集団を結成した。彼のデビューが注目を集めたのは、2012年に発表したミックステープ『1999』によってだろう。この作品は、彼がわずか17歳で制作したにもかかわらず、90年代のクラシックなニューヨーク・ヒップホップを思わせる内容であり、批評家からも高く評価された。
特に、彼の独自のフロウとメッセージ性に富んだリリックは、彼を「若きリリシスト」として知らしめた。以降、Joey Bada$$は自身の音楽を通じて、社会正義、自己啓発、そしてコミュニティの問題に取り組み続け、リスナーに深い影響を与えてきた。
ヒットソング「Temptation」の解説と和訳
Joey Bada$$の代表作の一つである「Temptation」は、彼のアルバム『All-Amerikkkan Bada$$』(2017年)に収録されており、社会問題に対する深い洞察が込められている楽曲だ。この曲では、人種差別や警察の暴力といった現代アメリカ社会の問題に対する憤りと、それに直面する若者の葛藤が描かれている。
「Temptation」和訳の一部:
「I come from a place where you ain’t supposed to make it / A place where you die if you don’t take it」
(俺は、成功するなんて無理だと言われる場所から来たんだ / そこで、何かを掴まなければ死ぬ運命にある場所さ)
「They tryna throw me off track / But I won’t let ‘em do it」
(奴らは俺を道から外そうとしてる / だが、俺はそれを許さない)
このリリックからは、Joey Bada$$の決意と、逆境に屈せず前進し続ける姿勢が感じられる。彼は、アメリカの社会的な不平等に立ち向かいながらも、黒人が宗教の奴隷になっているなど、希望を見出し続ける非常に強いメッセージをリスナーに届けている。この曲のリズムはシンプルでありながら、感情的な強さがあり、Joey Bada$$の言葉に込められた思いがストレートに伝わってくる。以下から和訳動画をぜひ視聴して頂きたい。
ヒットソング「Devastated」の解説と和訳
「Devastated」は、Joey Bada$$にとって商業的な成功をもたらした一曲と言えるだろう。この楽曲は、彼のキャリア初のゴールド認定を受け、より広範なリスナー層に支持された。この曲では、彼のキャリアの初期に感じた挫折や自己疑念、そしてそこから立ち直り成功を掴んだ経験が描かれている。
「Devastated」和訳の一部:
「I used to feel so devastated / At times, I thought we’d never make it」
(俺はいつも打ちひしがれてた / 時には、俺たちは成功なんて無理だと思った)
「But now we on our way to greatness / And all that ever took was patience」
(だが今、俺たちは成功への道を歩んでる / それに必要だったのは、ただ忍耐だけだったんだ)
このリリックは、Joey Bada$$が自らの経験を通じて得た教訓を反映しているだろう。人生の困難を乗り越え、成功を手にするまでのプロセスは決して簡単ではなかったが、彼はそれに耐え抜き、最終的に大きな達成感を得た。この曲は、彼が自分自身やファンに対して「困難に負けないこと」の重要性を伝えるメッセージソングだと言える。以下からぜひ和訳を視聴して頂きたい。
Joey Bada$$の知的な人間性とリリシストとしての強み
Joey Bada$$は、その知的なリリックとメッセージ性で広く評価されている。彼は、ヒップホップにおいて単なる自己アピールや派手さを追求するのではなく、より深い思想や哲学をリリックに込めることを重視しているのだろう。彼のインスピレーションは、マルコムXやマーティン・ルーサー・キング・ジュニアといった公民権運動の指導者たちからも得られているとされる。彼の音楽には、こうした歴史的背景や政治的メッセージがしばしば反映されている。
また、彼は自己啓発やスピリチュアルなテーマにも強い関心を持ち、それがリリックに反映されることが多い。Joey Bada$$は自身を「知的なアウトサイダー」として位置づけ、リスナーに対して自分自身の考えを持ち、深く物事を考えることの重要性を説いている。
大麻を吸わない理由
多くのヒップホップアーティストが大麻の使用を公言する中で、Joey Bada$$はその逆を選んでいる。彼は過去に大麻を使用していたが、現在はそれを断っている。彼が大麻を吸わない理由として挙げたのは、クリアな思考と精神的なバランスを保つためだと言われている。「大麻を吸うと音はよく聞こえるが、それ以上に大事な事が疎かになってしまう。俺がそういうタイプだってことだ。」と述べている
Joey Bada$$は、彼自身の精神的な成長や健康に意識的であり、リリックの中でもしばしば「自己の内なる声」に耳を傾けることの重要性を語っている。彼はクリエイティブなプロセスにおいても、クリアな意識を保つことが大切だと考えており、そのために大麻の使用をしないと述べている。
Joey Bada$$の未来と音楽の展望
Joey Bada$$は、その音楽とメッセージを通じて、ヒップホップの未来を切り開く存在だと言えるだろう。彼のリリックには、単なる表層的な成功や富を追求するのではなく、より深い意識的な成長を求める姿勢が表れている。また、彼の社会正義やコミュニティに対する貢献も、彼が単なるミュージシャンにとどまらない存在であることを示している。
これからのJoey Bada$$は、音楽業界だけでなく、社会的なリーダーとしてもさらなる影響を与えていく可能性が高いだろう。彼の知的で意識的なアプローチは、若い世代のリスナーに良いインスピレーションを与えていくに違いない。
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