完璧だ

    LEX『Original』は、彼のアーティストとしての核心に迫るような作品である。ミニマルでありながら奥行きのあるビートは、トラップ以降のヒップホップシーンで培われた音像を感じさせ、低音の効いたベースラインが楽曲全体を支配している。シンセサイザーの冷たい響きとドラムマシンの乾いた音色が、都会の夜のストリートを想起させるような空気感を生み出している。

    LEXのフロウは、言葉を詰め込みすぎず、間を活かしたデリバリーが印象的である。日本語ラップの文脈においても独自のポジションを確立してきた彼だが、本作では特にメロディアスな歌唱とラップの境界を行き来するスタイルが際立つ。オートチューンを効果的に使用しながらも、感情の機微を丁寧に伝える技術は、若手ラッパーの中でも群を抜いていると捉えられる。

    リリックのテーマは、自己肯定と葛藤、あるいは成功の中で感じる孤独といった内省的な内容が中心になっているように聞こえる。タイトルの「Original」が示唆するように、他者との比較ではなく、自分自身のオリジナリティを追求する姿勢が全編を通じて貫かれているのかもしれない。ニューヨークやロサンゼルスのシーンからの影響を咀嚼しつつ、日本のストリートカルチャーに根ざした表現へと昇華させている点は、HIPHOPCs編集部としても注目に値すると感じさせる。

    深夜のドライブや一人の時間、都市の喧騒から少し離れたいときに聴きたくなる一曲である。LEXというラッパーが持つ美学と、現行ヒップホップのトレンドが絶妙に交差した本作は、彼のディスコグラフィーの中でも重要な位置を占める作品となるだろう。


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