Key Takeaways
- デザイナーは、スタンダップコメディで自らの歌詞が聞き取れないと揶揄されたが、新たなフリースタイルでそのスキルを証明した。
- 彼の新しいラップスタイルは、従来型のBoom Bapビートに乗せており、従来のマンブルラップとは異なる。
- SNSでは彼の帰還が注目され、過去の大ヒット『Panda』と比較された。
- デザイナーは最近のトラブルを乗り越え、ニューアルバム『ii』で復活を遂げた。
- ヒップホップの現在の潮流は商業主義から逸れ、再び古典的なスタイルが求められている。
via @lifeofdesiigner
10年ほど前、アメリカを代表するコメディアンのMarlon Weyans(マーロン・ウェイヤンズ)のスタンダップコメディを鑑賞した時、丁度Desiigner(デザイナー)の代表曲『Panda』が流行っていた。マーロンは、「最近のラッパーは何言ってるかわっかんねーわ。あのパンダって曲!なんとかかんとかなんとかかんとかLook like Panda!ってパンダしか聴き取れねぇし!」と揶揄していたのだが、アメリカ人ですら何言ってるのか全然分からないリリックスが特徴的だった、デザイナー。だがしかし。彼固有のノリノリなエネルギーとは一線を画した、洗練されたリリカルなスキルと落ち着いたフリースタイルを突然発表し、改めてスキルの高さを証明した。
プロデューサーの@beatsbydomingoがインスタで数日前シェアしたこのフリースタイルでは、ミスター『Panda』ことデザイナー氏が、力強いビートに乗せて静かにバーをスピットしている。マンブルでは無く、トラディショナル(伝統的)…という言い方には語弊があるかもしれないが、そのBoom Bap(ブーンバップ)なビートに載せたラップスタイルは、かつて皆が彼に抱いていたワイルドで躍動感あふれるフロウとは一線を画していた。とあるXユーザーが「いや、デザイナーが帰ってきた。ラップしてるぜ」とキャプションを付けてこの動画をリポストしたことで、ネット上の人々は注目するようになった。
SNSでの評価はかなり良く、Xのユーザーのひとりは「このN__デザイナーはフューチャーみてーなラップからConwey The Machine(コンウェイ・ザ・マシーン)みてーなラップに変わったぜ」と呟き、また他のユーザーは「多くのラッパーが、受け入れられたいがために自分の能力を制限していると言ったらどう思うだろうか?」と疑問を呈していた。
デビュー時Future(フューチャー)と比較されていたデザイナーのキャリアはかなり浮き沈みが激しかった。皆、『Panda』のメガヒットで彼を知り、そこから『Timmy Turner』や『Outlet』を発表していったが、残念なことにそこから不毛な時期を経験する。最も最近のニュースは、2023年4月の機内露出事件だ。東京発ミネアポリス行きのデルタ航空の機内で性器を露出させ自慰行為を行ったとして、公然わいせつ罪で起訴された。彼は到着後FBIに拘束され、後にこの罪で起訴されたのだ。そんなこんなで彼のキャリアのどん底に突き落とされ、そこから立ち直れるかどうかは不透明だった。
だが、数ヶ月前にニューアルバム『ii』をリリースし、アーティストとしての輝かしいカムバックを果たした。デザイナーが過去8年間の苦境を乗り越え、全く別のアーティストになることを渇望していることは明らかだ。今回の別スタイルなラップも、その1つなのかもしれない。
35年ぶりにヒップホップがビルボードホット100のTop40のチャートから漏れ、「2025年はヒップホップ不毛の年」などと呼ばれているが、商業主義から外れ、原点回帰というか再び古典的なものを好む風潮になっていると思うのは筆者だけだろうか?そこで、このデザイナーのラップスタイルのニュースである。このフリースタイルで再び注目を浴びファンを惹きつけたのだから、これを機に再び返り咲いて欲しいものだ。彼の才能は既に証明済みなのだ!
