Key Takeaways
- D’Angeloの訃報を受け、New Edition、Boyz II Men、Toni Braxtonが全米ツアーを発表した。
- ツアー名は『THE NEW EDITION WAY TOUR』で、全員が一緒にパフォーマンスする予定。
- チケットは来週の金曜日に発売され、1月から4月にかけて30公演を行う。
- 記事では各アーティストについての歴史や影響を紹介している。
- 古き良きR&Bを支えた彼らの音楽をリアルタイムで楽しんでほしい。
音好きHiphopCs民は今月中旬、D’Angelo(ディアンジェロ)の訃報で悲嘆に暮れていたようだが、そんな米国から朗報が届いた。これまた全盛期活躍したエモいメンバーがタッグして全米ツアーを開催するという。なんとソーシャルメディアを通じて、New Edition(ニュー・エディション)、Boyz II Men(ボーイズIIメン)とToni Braxton(トニー・ブラクストン)の3組が、来年1月から4月まで全米各地を巡業すると発表したのだ。
『THE NEW EDITION WAY TOUR』と題された今回のツアー。発表によるとアーティストは全員、別々のセットリストではなく、実際に一緒にパフォーマンスするとのこと。とはいえ、実際にどうなるかはまだ明かされていない。チケットは、来週の金曜日(10月31日)にツアーのウェブサイトで発売される予定だそうだ。先述の通り、来年1月下旬から4月上旬にかけて開催される、30公演にわたるツアーになるそうだ。
本サイトの閲覧者の年齢層はかなり幅広いが、この3組の全盛期がドンピシャでは無い世代のために、彼らについてちょっぴり補足する。既存のHiphopCs民は、容赦なく読み飛ばして添付動画やMVを視聴し、あのエモい時代に脳内タイムスリップして欲しい。
New Edition
ニュー・エディションは、1978年にマサチューセッツ州ボストンでMichael Bivins(マイケル・ビヴィンズ)、Ricky Bell(リッキー・ベル)、Bobby Brown(ボビー・ブラウン)の3人によって結成されたアメリカのR&Bグループである。1982年にはRonnie DeVoe(ロニー・デヴォー)とRalph Tresvant(ラルフ・トレスヴァント)が加入しメンバー構成を固め、『Candy Girl』や『Cool It Now』などのヒット曲で大成功を収めた。彼らのキャリアは、大成功と同時に、1986年のボビー・ブラウンの脱退(Johnny Gill/ジョニー・ギルが後任に就任)や、その後のソロ活動やサイドプロジェクトなど、メンバー間の確執にも世間を賑わせてきた。Jackson 5やMotownといった過去のコーラスグループから多大な影響を受け、洗練されたハーモニーとダンスパフォーマンスが特徴だ。彼らは過去のコーラスグループの伝統を引き継ぎつつ、現代のヒップホップと結びつけた重要なグループなのである。
Boyz II Men
お次、ボーイズIIメンは、1988年にフィラデルフィアで結成されたアメリカのボーカルハーモニーグループで、R&Bバラードとアカペラスタイルで知られている。オリジナルメンバーは、Nathan Morris(ネイサン・モリス)、 Wanyá Morris(ワニヤ・モリス)、Shawn Stockman(ショーン・ストックマン)、Michael McCary(マイケル・マッキャリー)の4人組だった。2003年にマッキャリーが脱退した後は、3人組として現在も活動を続けている。彼らは史上最も売れたR&Bグループの一つであり、『End of the Road』『I’ll Make Love To You』、Mariah Carey(マライア・キャリー)との『One Sweet Day』などのヒット曲で知られている。ちなみにグループ名は、ニュー・エディションの曲『Boys to Men』に由来している。
Toni Braxston
今回のツアー紅一点のトニー・ブラクストン。現在は彼女の楽曲よりもCash Money RecordsのBirdman(バードマン)との交際や結婚(&スピード離婚)騒動で知れ渡っているが、彼女は米国R&B界では有名なシンガー、ソングライター、女優、そしてテレビタレントである。1967年メリーランド州生まれ。1990年代に名声を博し、世界中で7,000万枚以上のレコードを売り上げ、なんとグラミー賞を7回受賞しているのだ。ブラクストンは、姉妹と共にThe Braxstons(ザ・ブラクストンズ)で活動を開始し、その後ソロ活動に以降し情緒ある歌声で『Un-Break My Heart』や『Breathe Again』などのヒット曲を生み出した。往年のディーバ達の歌唱法に現代的なサウンドを組み合わせ、新たな女性R&Bのスタイルを確立した立役者である。日本では滅多に名前を耳にしなくなったが、米国ではリアリティ番組に出演したりしてそこそこの活躍をしている。
プロモ動画
ボーイズIIメンがXに載せた動画では、ニューエディションのメンバーがソファに座って次のツアーについて話し合っているところから始まる。彼らはまずボーイズIIメンに電話をかけ、ツアーに誘った。「ニュー・エディションとボーイズIIメン。これまで何年も、俺たちが一緒にステージに立ったことは一度もなかったんだ」とジョニー・ギルは言い、メンバー全員が、これまでやったことのないことをするにはどうしたらいいか考えていた。そして、デヴォーが「少し女性的なエネルギーが足りないんじゃないか」と示唆すると、ギルは「正真正銘の女王」トニ・ブラクストンに電話をかけ、彼女はためらうことなくその申し出を受け入れている。
彼らの功績を振り返る
古きを知り新しきを知る、ということわざ通り。彼らの活躍は今も現在進行形で受け継がれている。ニュー・エディションは今の歌って踊るボーイズグループの原型となったグループであるし、ボーイズバンドとR&Bにおけるヒップホップの融合の先駆けになった存在である。ボーイズIIメンは、 80年代以降ポップチャートから遠ざかっていたR&Bに再び焦点を当て、洗練されたボーカルハーモニーの重要性を再認識させたグループであるし、今でもDrake(ドレイク)やCharlie Puth(チャーリー・プース)といった現代アーティストが彼らの楽曲をサンプリングしたり、コラボしている。トニ・ブラクストンは、特徴的なハスキーな歌声とクールで都会的なサウンドで、その後の多くの女性R&Bシンガーに影響を与えた。もちろん彼女の楽曲もよくサンプリングされている。そんなエモい彼らの往年の名曲を、是非聴いてみてもらいたい。新しい何かを発見する…かも?