最近よく取り沙汰されている、アトランタ出身のラッパー達。今回はLil Yachty(リル・ヨッティ)がやり玉に挙げられている。なんと彼は、George Floyed(ジョージ・フロイド)氏の死を暗示する物議を醸す歌詞を披露し、世間から猛烈な批判を浴びているのだ。
故ジョージ・フロイド氏に無礼な歌詞
Plaqueboymax(プラクボーイマックス)とのストリーミング配信で、ヨッティはConcrete Boysと共同で近日リリース予定のプロジェクト、『It’s Us Vol. 2』から未発表曲を披露した。その曲には、なんと「Put my knee up on her neck, I went George Floyd.(膝を彼女の首に乗せて、ジョージ・フロイドにしたのさ)」という歌詞が含まれていたのだ。
ファンもスティーブン・ジャクソンもおかんむり
さーてさて、この発言。リル・ヨッティのファンも、そして、ヒューストンでフロイドと一緒に育ったNBAの伝説的プレイヤーのStephen Jackson(スティーブン・ジャクソン)をも激高させた。
「てめぇらバカにかまわねぇようにしてるんだが、難しいんだよ」とジャクソンはSSNで語っている。「リル・ヨッティ、ブラ。あんたはイカしてる。だがジョージ・フロイドの名前を出して、バーで奴の名前を使用して、お前のイカした音楽をみんなが気に入ってくれると思ってんのか、マイ N____?弱ぇんだよ。N___、死者を貶めて、それがクールだって言ってんのはお前らの時代(世代)だけだ。そんなもんクールじゃねぇんだよ。俺とサード・ワードの全員とテキサス州ヒューストンの全員が、Gマン(ジョージ・フロイドのG)の後ろにいる。絶対にあいつの名前を言うじゃねぇ。お前ら誰もGを知らねぇ。あいつについて何も知らねぇ…やってることが弱ぇんだよ、ヨッティ。家族を死なせたらどうだ。俺らはそれについてスキットするつもりだ。こういうクソができるのは、てめぇみたいなイカれたサンボ野郎だけだ」
このジャクソン氏。過去にも、ジョージ・フロイド氏に関する発言でカニエ・ウェストを批判したことがある。ジャクソン氏はフロイド氏とその家族と親しい友人であったが、ここら辺でこの事件を知らない方のために、軽くジョージ・フロイド事件のおさらいをする。
ジョージ・フロイド事件のおさらい
2020年5月25日に発生したジョージ・フロイド事件。ミネソタ州ミネアポリスで逮捕された46歳のアフリカ系アメリカ人男性、ジョージ・フロイド氏が死亡した事件で、現場にいた人物が撮影した動画には、白人警察官のDerek Chauvin(デレク・ショーヴィン)が、手錠をかけられうつ伏せにされたフロイド氏の首を長時間膝で押さえつけている様子が捉えられていた。その間、彼は息ができないと繰り返し訴えていた。この事件は、警察の暴力と組織的人種差別に対する広範な抗議を引き起こし、ショーヴィンは殺人罪で有罪判決を受けた。このビデオは警察の暴力と人種差別に対する広範な怒りと抗議を引き起こし、世界中でかの有名な、Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)運動を加速させた。
そして今回は、同じマイノリティであり黒人のヨッティが、同じブラザーのフロイド氏についてラップで言及(消して良い意味では無く)した、という事が問題の論点となっている。
ジョージ・フロイドの家族もおかんむり
ジョージ・フロイド氏の弟Terrence(テレンス)氏は、リル・ヨッティや他の人たちは、彼について発言する際には注意すべきだと語っている…なぜなら、彼の死は依然としてデリケートな話題であり、家族に今も傷と動揺を与えているからである。また彼は、2020年と2021年にジョージの死が世界中で抗議の波を引き起こした際、リル・ヨッティは注意を払っていなかったに違いないと述べ、ヨッティには文化と歴史の再勉強が必要だと語った。
シャラメイン・ザ・ゴッド:言論の自由は認めるが、それに追従する結果からは自由になれないぞ
これは、無知からなのか、若気の至りからなのか…。現在27歳のヨッティはオープンな性格で、人の意見や感想をあまり気にしない強い個性の持ち味だが、頭も良いし決して不誠実な人間じゃない…ような気がする。
筆者も定期的に視聴している『The Breakfast Club』のカリスマホスト、Charlamagne tha God(シャラメイン・ザ・ゴッド)は、「Kendrick(ケンドリック)とDrake(ドレイク)のビーフの時、ドレイクの肩を持っていたろ?共感してただろ?同じことをなんでジョージ・フロイドと彼の家族にできないんだ?ってか、この時、スタジオの誰も止めなかったのか?だから周りにイエスマンばっか置いてるとこうなるんだ。ノーって言える奴がいないといけないんだよ!言論の自由を俺は認めるが、それに追従する結果からは自由になれないんだぜ?だから何か発言する前に”俺はその代償を払えるか”について考えるべきだな」と言い切っていた…確かに、その通りである。筆者はヨッティ君のユニークなハイピッチボイスと、たまに音節からはみ出しちゃっている字余りラップ(というのか?)が意外と好きだったりするのだが、この歌詞は確かに、聴いていて心地よいものではなかった。
大どんでん返し
この記事を書き終えようという時、なんとヨッティがスティーブン・ジャクソンに連絡を取り、謝罪をしたというニュースが入ってきた。ジャクソン氏は謝罪を受け入れ「彼は賢いな。業界のトップにいるだけある」とのコメントをインスタに上げていた。しかし現時点でフロイド氏の家族に謝罪したかは不明である。
やはり…歌詞含め、言動には気をつけよう。