ディスリ王(と勝手に筆者が呼んでいる)Pusha T(プーシャT)。近年の作品ではほぼ毎回、誰かをディスっているが、Clipse(クリプス)のニューシングル『So Be It』で彼がターゲットにしたのは、Travis Scott(トラヴィス・スコット)だ。
さて、彼のリリックスを抜粋しよう。「You cried in front of me, you died in front of me/Calabasas took your bi**h and your pride in front of me/ Heard Utopia had moved right up the street/ And her lip gloss was poppin’, she ain’t need you to eat/ The ‘net gon’ call it the way that they see it/ But I got the video, I can share and A.E. it/ They wouldn’t believe it, but I can’t unsee it/ Lucky I ain’t TMZ it, so be it, so be it」(訳:お前は俺の前で泣き、俺の前で死んだ/カラバサスは俺の前でお前の女とお前のプライドを奪った/ユートピアがすぐ近くに引っ越してきたと聞いた/彼女のリップグロスは飛び出していた、彼女はお前が食べる必要はないんだ/ネットは見た通りに報じるだろう/だが俺はビデオを手に入れた、シェアしてA.E.できるさ/誰も信じないだろうけど、俺は見ないようにできない/俺がTMZ(エンタメニュース)じゃなくてよかったな、それでいい、それでいい)
この歌詞は、トラヴィスの2023年リリースのアルバム『Utopia』、元恋人Kylie Jenner(カイリー・ジェンナー)、そしてジェンナーの元恋人Tyga(タイガ)の親友Alexander “A.E.” Edwards(アレクサンダー・“A.E.”・エドワーズ)について言及している。そして、証拠をTMZ(エンタメニュース番組)に公開しなくてよかったなと述べているのだ。「本当の背景は、俺たちがパリでマジで仕事をしていた時に、奴(トラヴィス)がPharrell(ファレル)に新しいアルバムを聴かせたいと電話をかけてきたんだよ」とプーシャはGQ誌に語ったそうだ。「奴はルイ・ヴィトン本社にあるファレルのスタジオにやって来たんだけど、俺らクリプスはそこで『Let God Sort Em Out』のほとんどをレコーディングしてたんだ。そして、(奴は)セッションの邪魔をしたんだよ」
お怒りのバージニアラッパー曰く、トラヴィスは自分が邪魔していることに気づいていないようで、むしろ自分の曲をかけることに集中だったという。「奴は俺とMalice(マリス)がそこにいるのを見て、『ああ、みんなここにいるんだ』って感じでよ」と彼は回想する。「奴はにこにこ笑って、飛び跳ねて、あのクソモンキーダンスを踊っていた。俺らはその曲に入り込めなかったんだけど、奴はそれをかけたがっていたし、(俺らとファレルがそれを聴いているのを)撮影したがった」
最大の問題は、その時トラヴィスが演奏しなかった曲だった。「そして1週間後、『Meltodown』を聴いたんだ」とプーシャTは付け加えた。「あいつは(あの時)曲自体は流したけど、(Drake(ドレイク)のヴァースは)プレイしなかった」そうだ。この曲は、ドレイクがファレルのJoopiterオークションで買ったネプチューンズ時代のジュエリーを溶かすと脅した、悪名高い曲である。プーシャTとビーフを続けているドレイクは、彼と関係のあるファレルもターゲットにしたのだ。
その行為に大変おかんむりのプーシャTだが、以前もトラヴィス・スコットは『Sicko Mode』にドレイクのYe(イェ)をターゲットにしたヴァースを乗せたりと前科があるので、さして驚かなかったという。「奴は選り好みもしないし、誰にも忠誠心がねぇんだよ」とプーシャは述べた。「自分がホットだと感じたものに飛びついたり、しがみついたり。でも、そういうゲームはそういう奴らとやれってことだ…俺らはあんたらのミックスには関わってない。どこか他でやれよ」
と、いう事で。プーシャTと仲良くなるには、どうやら八方美人ではなく、彼と彼の仲間たちに忠誠心を示さないといけないようだ。そして、八方美人なのか、天然で何も考えていないのか。いずれにせよ、ファンが知らない性格の一部が垣間見れてしまったトラヴィス・スコット。ちなみに、トラヴィスに利用されているような、はたまた彼を利用しているようなドレイクは、どう思っているのだろうか?ファンからすれば、このようにアート(音楽)としてビーフを昇華させることに、異議はないし大いに歓迎だ。