木曜日, 4月 3, 2025
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『Not Like Us』から『チーム友達』まで:ブラックミュージックとCall and Responseについてさらっと考察!

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Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマ―)が2月9日のスーパーボウルのハーフタイムショーで『Not Like Us』を、Drake(ドレーク)とのビーフに関係無く演奏する予定である、ってニュースが流れたんだけど。昨年大流行したこの曲の後半部分で「Let me hear you say “OV-Ho”! 」って個所あるの覚えてるかな?DrakeのレコードレーベルOVOを揶揄ってるんだけど、ここでノリの良いリスナーや聴衆は一緒に「OV-Ho!」ってリピートするのね。なんなら筆者もこの曲かかるとつい一緒に口ずさんでしまうんだけどね。これは「複数の参加者間の音楽的な会話」を指すんだ。で、のっけから掲題の「Call and Response」についての定義を書いちゃってるんだけど、前回のラップのルーツで(活字数の問題もあり)あまり補足説明できなかった、この「Call and Response」について今回はいろいろ紹介してみようと思うんだよね。

ケンドリックラマー KOHH
Los Angeles, California – February 5, 2023 Kendrick Lamar received the award for Best Rap Album for his critically acclaimed project, “Mr. Morale & The Big Steppers”, during the 65th Annual GRAMMY Awards. The event took place at the Crypto.com Arena in Los Angeles, California. Standing onstage, Lamar delivered his acceptance speech, marking another milestone in his illustrious career. (Photo by Kevin Winter/Getty Images for The Recording Academy)IndianOrc, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons

ブラックミュージックの美学としてのCall and Response

アフリカ音楽の口頭伝承から生まれたプランテーションソング。または労働歌は、プランテーションで働く奴隷化されたアフリカ人のコミュニケーションの手段として、または退屈な野外作業を克服するための娯楽として演奏されたそう。この伝統は20世紀になっても刑務所の労働収容所で続いたんだって。

このCall and Response、19世紀~20世紀にかけて公共の集まり、宗教儀式、声や楽器による音楽表現…例えばゴスペルやソウル、ジャズ、ブルース、ロック、ヒップホップにまで波及したんだ。Caller(コーラー)またはリーダーは、ミュージシャンのガイドとして機能して、曲を開始してから音楽やストーリー展開を促進する役目を担う。Callの発信者は、参加者のエネルギーを押したり引いたりして、パフォーマンス全体の雰囲気を設定するんだって。Responder(リスポンダー/応答者)は、設定されたリリックスや歌詞に従ってCallerに従う、または質問や呼びかけに応える。この形式は、聴衆や群衆の参加を最大限に可能にして、包括性とコミュニティやユニティを強調するんだそう。Call and Responseは、ブラックミュージックの美学を最も完全に凝縮した1つの比喩としても挙げられるんだ。なぜなら、ブラックミュージックは固定された対象ではなく、集団的な経験であることを前提とするからだそう。さてさて、難しい話はこれ位にして、と。

『天使にラブソングを2』の「Oh Happy Day」のCall and Response

アフリカ系アメリカ人の精神的伝統における礼拝で使用される場合、通常Callerは説教者または他のコミュニティのリーダーであり、会衆はResponderとして機能する。これは日本人にあまりなじみが無くても、ハリウッド映画での教会のシーンや説教のシーンでよく観るよね。

ウーピー・ゴールドバーグの代表作でもあり、あのローリン・ヒルも初々しい学生役で出演してた1993年の『天使にラブソングを2(原題:Sister’s Act2)』(注:『天使にラブソングを』は1と2がある)という映画で、1968年エドウィン・ホーキンスが18世紀の賛美歌をアレンジした『Oh Happy Day』を歌ってるけれど、この「オーハッピーデー」ってフレーズをメインボーカルの後にコーラスが繰り返すように歌うんだよね。これもゴスペル音楽におけるCall and Responseの良い例なんだそう。ちなみに、去年この『天使にラブソングを2』のリユニオンがあって、初老のウーピーさんが大きくなった生徒(役だったみんな)を指揮してみんなで同曲を歌っていたよ。メインボーカルをしていたライアン・トービーさん(映画では小さかった少年だったのに、おっさんになっていました)が衰えない歌唱力で力強く歌ってた。残念ながらローリンさんはいなかったけど。

ヒップホップのCall and Response

上記の「集団的な経験」を上手く取り入れているのが、やはりヒップホップという音楽ジャンルではないかな。数日前、筆者のThreadsフォロワーが『Noah』という1940年代Jubalaires(ジュバレイアーズ)という4人組のゴスペルグループの動画を紹介していて、久しぶりに視聴した筆者も思わず引用してしまったんだけど、彼らが口頭伝承というテクニックを楽器とCall and Response形式で使用したのが、ヒップホップの初期形とも言われているんだよね(その形式が一般に広まるのは、前回の記事の通り)。ヒップホップの楽曲でこのCall and Responseの例を挙げるとキリが無いんだけど、例えばRun DMCの初期の作品…『Its’ like that』とかは強烈なビートとCall and Responseの歌詞をフィーチャーした特徴的なスタイルが有名だったし。あとはクラブや盛り上げるときに未だにかかるNaughty By Nature(ノーティーバイネイチャー)の『O.P.P.』 や 『Feel Me Flow』もその良い例だし。Pharell(ファレル)の『Happy』も手を一緒に叩いちゃうし、Migos(ミーゴス)も『Bad and Boujee』に代表されるように、Call and Responseを多用しているグループだよね。むしろグループとかデュオ間でよく見られるような気もする。もちろん、ソロアーティストでも冒頭に挙げたケンドリック・ラマ―、千葉雄喜さんの『チーム友達』しかり、アーティストがライブで盛り上げる手法としても、現在進行形でCall and Responseが多用されているのである。

『チーム友達』のCall and Response

今回この記事を書くに当たって、どうやってアプローチしたら読者に興味を持って読んでもらえるか考えていて、気づいたら数週間、書いたり消したりを繰り返して寝かせたままになっていたんだけど、やっとこさ記事に出来たよ。12月末、筆者は王子で開催されたDJ Ryowさんのイベントに行ったんだけど、そこでサプライズ出演で千葉雄喜さんが登場して『チーム友達東海バージョン』を披露したのね。で、やはり彼の「観客を巻き込む力」というか、もはや「観客のみならず出演者まで全員巻き込んじゃう力」みたいなの見せつけられて、凄いなぁと思ったのよね。もちろん観客に「俺たち何、え?」の後にCall and Responseで「チーム友達!」って言わせていたし。会場中が踊りながら大合唱だった。これこそ「集団的な経験」の最たるものだと思ったのよね。素晴らしかった。

と、前回に続きこの記事を最後まで読んでくださった皆様。やはりかなりの音楽好きですな。今回もご拝読、ありがとうございました。

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